君のバスで
バス停や駅が好きな小一の息子。
最近はアンパンマンバスのおもちゃを改造して、自分で考えた架空のバス停をアナウンスしながら、ひとりバスごっこをして遊ぶ。
アンパンマンバスをベースとする理由は、おもちゃの中でこのバスの扉の開閉が一番リアルだかららしい。
「このバスは〇〇方面〇〇行きでございます」
「次は〇〇、〇〇」
「つぎ、停まります」
ウグイス嬢のようにアナウンスする息子。
将来はバスのアナウンスをやりたいと言う。
それを聞いて私は、そんな仕事は簡単にAIに取って代わられてしまうよ、なんて言ってしまう。
なんと夢のない大人だろうか。
いっそのこと、そのバスでどこか遠くへ連れ去ってほしい。
そして、息子もいずれミッドナイトバスに乗って行ってしまう日が来るだろう。
でも今私のいるような停留所で降りない方がいい。
もっと遠く、あの頃夢見た停留所で降り立ってほしい。
きっとそこには、君の「好き」が詰まったあの素敵なバスも停まっているに違いない。
いつかそこで落ち合いたいな。
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