モリア・ミーツ・ワールド

妻と朝食に、初めての酵母パンを食べながら、

生の酵母パンってすごく美味しいねって話をしてたら、

京都ボローニャのデニッシュパンのことを思いだしました。

20年ちょっと前、

三条大橋を渡ったところに京都ボローニャの路面店があって、

通りすがらデニッシュパンの試食ができたんです。

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僕は、初めて食べた試食のそれが美味しすぎて、

三条通りを何往復もして、何回も試食を繰り返してました。

三条大橋から高瀬川に向かって歩きながら、

店前に出てる試食ケースに左手を伸ばして、パクリ。

ウマっ!と、試食パンを噛みしめながらしばらく歩く。

と、もう1回食べたくなって、来た道を戻ります。

今度は、高瀬川から三条大橋に向かって歩きながら、

店前の試食ケースに右手を伸ばして、パクリ。

ウウウ、ウマっ!と、試食パンを口に含ませながら歩く。

と、あかん目的地はこっち違うねんと、くるりと引き返す。

そうすると、また店前に試食ケースが見えて、

自然と左手が伸びて、3回目のパクリ。

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食べるたびに美味しくなってくるデニッシュパン。

半欣で、800円くらいだったと思います。

大学生だった僕には、結構微妙な値段だったし、

実家暮らしの部屋に、わざわざパンを買って帰るのもどうかなと思って、

買うという判断は無かったです。

なので、もう一回引き返して、4回目の試食デニッシュパンをパクリ。

あかん、もう目的地に向かわないと時間に間に合わないからと、

焦りながら5回目のパクリ。

毎週そんな行動を繰り返してたので、

ある日、さすがに買って帰って思う存分食べてみようと肚を決め、

800円払って買って帰りました。

で、実家の自分の部屋で食べたデニッシュパンは、

確かに美味しかったんですけど、

もう、その頃には、試食でかなりの量のデニッシュパンを食べてたのと、

パンという食べものが、そもそもちょこちょこ食いに向いているのか、

試食の時に感じたほどの熱狂は感じなかったんですよね。


当時、試食で感じたデニッシュパンの中毒的な美味しさと、

実家の部屋で同じものを食べた時のちょっとしたアレレ?感。

そして、いま妻と食べている酵母パンのやさしい美味しさ。

その3つを較べると、

やっぱりあの歩きながら試食してる時に感じた熱狂は

何かがおかしかったよなと思います。

デニッシュパンの美味しさというものを初めて知ったとき、

知らなかった世界の扉がひとつ開かれてたのかな。

だったら、三条通を何往復もしちゃうよなと開き直ったりして。

これからの人生で、

あと何回、そんなことが僕の身に起こるかわからないけど、

もし、今度、新しい世界の扉が開かれたら、

あの頃と同じように、

三条通を何往復もしながら試食を繰り返す

図々しい僕であり続けたいなと、そう思ってます。

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