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ルービックキューブを買って動画を見ながら練習・練習。未完了を完了させるために。

ひとつの目論見と、ひとつの懐かしさからルービックキューブを買い、YouTubeを見ながら真剣に面の揃え方を習得しようとしている。これが予想以上にめちゃくちゃ面白い。

さて、なぜいまルービックキューブなのか。
それはひと月前くらいに、これまでの人生で挫折したこと、途中であきらめたこと、ほんの少しでも心残りがあることを書き出した。その中にルービックキューブがあったのだ。

オレが子どものころ、ルービックキューブが世界的に大流行し我が家にもご多分にもれずやってそれがやってきた。しかし当時YouTubeなんて便利なものはなく、ルービックキューブの攻略法も分からず、オレは一面しか揃えることができなかった。そしていつの間にかオモチャ箱の奥からどこかへ消えていった。

全面揃えることができずにルービックキューブから離れたことは、オレの心に僅かなシコリとなっていつまでも残った。おもちゃコーナーなどでルービックキューブが目に入ると胸の奥が微かにざわついていた。

未完了の完了のために、今年で50になる男がおもちゃコーナーに行き妻にルービックキューブを買ってもらった。

ルービックキューブを買った目的のふたつ目は、脳みそを刺激するためだ。
ルービックキューブはたくさんの刺激を脳に与えてくれるとオレは思っていて、それは集中力とリラックスが同時に起こると直観的に感じた。

結果、想像以上にすばらしい体験をオレにもたらしてくれた。

〈ルービックキューブが与えてくれるもの〉

YouTubeでルービックキューブの揃え方を調べて、何度も巻き戻しながら少しずつ学びを進めているが、とにかくはじめはわからない。頭が混乱する。それだけオレにとっては新しい未知のものでとてつもなく脳に刺激が入っている。

それと同時に、ルービックキューブを手に持った感触。手触り、キューブを動かすときの指に伝わってくる振動、その時にキューブから発せられる音がとてつもなく心地いいのだ。
とくにキューブを回すときの感触と振動、そしてキューブ同士が擦れ合う音が至福を運んできてくれる。

面を揃えるとき、キューブを両手の指先で空中に浮かべているが、そのとき目に入ってくる面を回す“指の複雑な動き”が奇跡としか思えず思わずうっとりとする。

指を動かす筋肉を感じる。オレのうかがい知れないところで器用に動く指。

脳がキューブの動かし方を学び記憶する前より先に、指の筋肉がそれを学び記憶するのがわかる。
脳が文字や意味を記憶するには時間がかかり、なおかつ忘れる。
しかし、体の記憶は一度覚えてしまうと忘れることはない。自転車に一度乗れるようになったら、数年ぶりでも体は覚えている。しかし高校で覚えた歴史の年号はほとんど覚えていない。

ルービックキューブの揃え方は、映像の記憶と共に、身体で覚える。感覚で覚える。
動画を見ながら何度もキューブの動かし方を真似る。脳と身体とそれをつなぐ神経に染み込ませる。

そして動画を停め、頭を静め、身体に任せる。
指が動き出すに任せる。記憶を辿るな。

すると記憶を使ってキューブをどう動かしたらいいのか分からないが、なぜか指が、身体が、よく分からないがもうひとりの自分が、ここをこう動かしたらいいと教えてくれるときがある。もちろん間違うときもある。

指が、身体が、何かが意志を持つ。
それをオレは観察するだけだ。

思考と距離をとる。身体とも距離をとる。

観察者・思考・身体。
マインドフルネスにルービックキューブを愉しむ。

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