見出し画像

物件の内見が怖い

Netflixで昨日から配信スタートの『呪怨:呪いの家』を観ました。

もうこれに尽きるんだけど、あのね、凄い作品だったよ。
(語彙力ゼロ人間)

呪怨はノベライズ版を読んだのと映画をボヤ~と見た程度で別にファンというわけでもなかったんだけど、ネトフリ版はみくのしんさんのこのツイートを目にして無性に気になったので軽い気持ちで見始めてしまった。

改めて見ると、作品の感想は「怖かった!!!!!!!」だけだったんですね。なんでこんなに気になったんだろう。


作品の感想をネタバレしない程度に言うと「あ~~……!!???そっち????そっちいくんだ??????」という感じでした。

僕、諸星大二郎先生の伝奇マンガがめちゃくちゃ好きなんですけど、この作品はちょっとそれに近いものを感じました。

話はそれますが、諸星大二郎先生の『暗黒神話』は一家に一冊レベルの傑作だと思ってます。『孔子暗黒伝』も。

話を戻します。


『呪怨』と言えば伽椰子と俊雄と「ア、ア、ア、ア、ア……」のイメージですよね?
それがね、全然無いんですよ。この作品には。

もちろんそれを感じさせる演出とか登場人物とか、そういうものはあるんですが、そこに頼らない演出に純粋に感動しました。


物語は「『呪怨』の元になった実際の事件」という語り口で始まって、もうその時点でメタ的なストーリーを予感させるんですけど、本編は想像以上にメタです。メタメタ。

昭和後期~平成中期にかけて実際に発生したおぞましい事件だったり災害だったり、またそんな事件を連想させるような事件だったり、そういうものが作品内で紹介され、そしてこの「家」につながっていく。

途中登場する「M」というキャラは誰が見てもあの「M」。そういう「あ、もしかしてこれって……」が作品のリアリティを強化しているように感じました。


物語は1988年から始まるんですが、奇しくもこれがドンピシャで僕の生まれ年で、個人的には自分が生まれて成長するまでの「時代」を追体験するような感じもありました。

女子高生コンクリート詰め殺人事件だったり、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件だったり、名古屋妊婦切り裂き殺人事件だったり世田谷一家殺害事件だったり……そういった昭和から平成にかけて起こった「忘れてはいけない事件」を、その恐ろしさを『呪怨』というフィルターを通して次世代に伝えていくための作品なのかも、とも思いました。


あとは「すっげ~『シャイニング』だな~」と思って見てました。「『シャイニング』だな~」と思って見ていたら最終話で急に『ドクター・スリープ』になったからビックリしたけど。

そこだけは「え、ええぇぇぇ~~~~~????」って言っちゃった。




『呪怨』という作品の根底にあるのは「家」に対する恐怖感だと思う。

「家」はなぜか怖い。

特に「人の家」には名状しがたい恐怖感がある。
友達の家に泊まりに行ったときとか、引っ越して間もない家とか、そういう家で過ごす夜は、何とも尻のムズムズするような落ち着かなさと恐怖を感じることがある。僕だけじゃないですよね?

それはもしかしたら「パーソナルスペース」とか「縄張り」とか、そういうものに対する本能的恐怖があるのかもしれない。

そして、「家」には人の生活が染みついている。そこにまた恐怖を感じる。
自分の知らないところで営まれている自分以外の人生。その匂いが怖い。
自分が過ごした人生と同じ、もしくはそれよりもずっと長い時間の人生が「家」には染みついている。

そこに「事故物件」とか『呪怨』とか、そういう「霊的恐怖」がオーバーレイされているから、相乗効果でもっと恐ろしいものになっている。

それが「家」に対する恐怖なのではないだろうか。


僕自身、今住んでいる部屋は築50年の物件なのだが、普段は全然平気でも、ふとした瞬間に「天井のパターンの古さ」とか「塗り重ねられた壁」とか、そういうものが怖くなることがある。
自分の生活よりも古い地層に埋まっている他人の生活を感じるからだ。

画像1

画像2

こわ~~~


僕の場合、そういう恐怖がピークに達するのが「物件の内見」だ。引っ越しの時のやつ。

「他人の匂いがする家」が、これから「自分が住む家」になるかもしれないわけだから。
「家」はその性格上「やっぱや~めた!チェンジ!」とも言えないし。


しかも、もし万が一、その家が『呪怨』に出てくるような「呪われた家」だったら……。

この作品を見てしまったからには、今後の部屋探しは一層ピリピリした気持ちで内見するに違いない。

そろそろ引っ越しを考え始めたこのタイミングで、観る作品ではなかったかもしれないですね!!おバカ!!!!!!

皆様から頂いたご支援は音楽、noteなど今後の活動の為に使用させていただきます。具体的に言うとパソコンのローンの支払いです。ありがとうございます。