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“はなみずたれみ”について(3)
我が家に保護された母猫の処遇が決まった。
それは意外にも、「元の場所に帰す」という選択。
猫エイズの猫を元に戻していいなんて、考えてなかった。
でもあちこち相談して、最後に妻が電話した保健所の、電話対応してくれた人の言葉に妻は驚いた。
「その猫、飼われてるかもしれませんよ。」
その話に僕も驚いた。
確かに、野良猫にしては人懐っこい。遊んでやるとへそ天、鼻チュー、膝の上でべったり寝る。最初からシャーもなく、引っ掻かれることもなかった。(多聞にはあんなにシャーシャーいわれて引っ掻かれたのに。)
トイレもペットシーツを敷いてからはそこでしている。
玄関先に餌を出してる家もある。
その人が言うには、「野良猫に見えて、飼われてること実は多いんですよ。」
確かに、我が家のたもしもみたいに、完全室内飼育の猫は、この田舎町には珍しいのかもしれない。つい最近まで、猫は自由気ままに地域を闊歩する生き物だったはずだ。
そんな猫が、外でケンカしたり交尾したりして、猫エイズに感染するのは、よくあることなのかもしれない。
それに、猫エイズの感染予防は、キャリアに接触させないことに尽きるようだ。
裏返せば、キャリアをどうするかはどこにも語られていない。
それはつまり、キャリアを地域から排除することは、ほぼ殺処分とイコールにしかならないからだろう。
殺処分を是としないならば、キャリアは地域に居て良く、飼い猫は完全室内飼育で飼い主が守る、ということになる。
なるほど、なんだかやっと、完全室内飼育を誓約させられた意味というか、背景が腑に落ちた気がするなぁ。(もちろんそれだけが理由じゃないと思うけど、ひとつ理屈が通ったということで。)
梅雨が明けたら、彼女を元いた公園の片隅に帰すことにしよう。
これからも、彼女に会えるかもしれないと思ったら、ちょっとホッとした自分がいた。
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