【読書ノート】世界のお金持ちが実践するお金の増やし方

かんき出版、高橋ダン著「世界のお金持ちが実践するお金の増やし方」を読み終えました。YouTuberとしても大活躍のダンさんを知ったのは数年前。投資関連のYouTuberは数多くいますが、その中でもご自身の華麗な経歴を活かして、かなり専門的な投資情報を分かりやすく説明してくださっています。私の投資スタイルはザ・「ほっとけ投資」(←勝手に命名)、つまり超長期投資なので、ダンさんの短期・中期的な投資戦略は個人的には実践していないのですが、知識として押さえておきたいと思い、この本を手に取りました。

この本では「健康に気を付ける」などのソフト面(巡り巡ってお金に関係すること)と、「投資資金の分割方法」などのハード面(直接投資に関係すること)、両方について書かれています。よって読書ノートもそのような構成にしていこうと思います。

ソフト面

出生は日本ですが、育ちはアメリカのダンさん。ソフト面のアドバイスにはアメリカ人ぽさが出ていて親近感が湧きます。たとえば通勤を減らすためにミーティングを1日にまとめて、ミーティングがない残りの日は自宅勤務にする、なんてテクニックは私の周りでもよくやっています。日本でもコロナ禍で自宅勤務の概念が増したと期待していますが、こちらでは職場に通う必要のない仕事(つまりほとんどのデスクワーク)に従事する人たちで、毎日通勤する人はあまり聞いたことがありません。その恵まれた環境を踏まえたアドバイスですね。

健康の大切さを説いているのも実は医療費がバカ高いアメリカならでは。一度悪化すると健康を取り戻すのにお金も時間もかかるし、投資に関するパフォーマンスにも影響が出ますよね。だから投資に成功する人たちは健康に気を配っているのです。

新しいことを小さく始める、また1つの新しいことを50回繰り返すのではなく、多様化して5つのことを10回繰り返す、などというのもなかなかいいライフハックだと思います。特に投資は分散することが何よりも大切ですもんね。

ハード面

投資で利益を出す5つのルールについて書かれています。

  1. 情報をできるだけ集める

  2. 他の人の意見だけで決断をしない

  3. 分散投資をする

  4. 買う理由、売る理由を記録する

  5. 一度に大きく売買しない

ほとんどは分かっていたことですが、4つ目の買う理由と売る理由を記録する、というのは考えたことがありませんでした。

新たに株式を購入したら、購入した理由を書きます。それと同時に、前もって売る理由も書いておきます。「こうなったら売る」というルールを記しておくのです。あるいは「こうなったら、自分の判断が間違っていたので売る」と損切りのルールも書いておきます。これがないと、自分が間違えても「自分は正しい」と都合よく解釈してしまいます。そう、自分に嘘をついてしまうのです。

世界のお金持ちが実践するお金の増やし方 P78

記録を見返すことによって、過去の自分と対話をして、今の自分を客観視、そしてさらには次の判断にもその思考を活かす。なるほどね〜、自分を正当化してしまう人間の悲しい性に立ち向かうのには意識的な工夫が必要です。

資金を長期と短期に分ける方法についても書かれています。長期に7〜9割、短期にその残りを分けます。長期投資の中でも株式、国債、現金、コモディティなど分散する必要があります。前述のとおり私は100%長期しかやっていないのですが、その中でもさらに分散しなければならないということですね。経済危機が起きる時に長期投資だとすべて下がることがあります。だからその損失をカバーしやすい短期投資もポートフォリオの一部に入れた方がいいとのこと。う〜ん、ただ何から始めたらいいのか分からないので、詳細は他の本を当たらないといけませんね。

「ローテーション戦略」についても書かれています。ローテーション戦略とは、たとえば前月に株式よりも金のほうがパフォーマンスが高ければ、翌月は金を増やします。これを毎月繰り返してポートフォリオを調整するやり方のこと。このくらいなら私でもできるかな。

もう一つ勉強になったのが、金を投資ポートフォリオに組み込むことについて。金はインフレや金融危機の際の保険となります。

金融危機で株式だけでなく、債券、不動産、商品(コモディティ)、すべてが下がるときがあります。そんなときも現物資産である金の価値は、値下がり幅を抑えられる可能性があります。だからこそ金は最高の保険なのです。

世界のお金持ちが実践するお金の増やし方 P154

一番のおすすめは現物(コインもしくはバー)と買うこと、とありますが、あまり現実的ではないので、金やプラチナのETFをポートフォリオに組み込もうかな。

経済指標の読みかたも大変参考になりました。GDPは多くの人が知っていますが、他にも大切な指標は多くあります。

たとえばPMI。PMIは企業の購買担当者の景況感を集計したもので、毎月データが公表されているため、現状を知る上でとても有効です。たとえばこのコロナ禍でもPMIは上昇しているので、大恐慌が待っているということではないとダンさんは予想しています。センセーショナルな記事を載せて売上を稼ぐメディアに流されるのではなく、自分の目で指標を確かめる大切ですね。CLI(Composite Leading Indicator)という将来の経済活動を予測する指標や、LEI(Leading Economic Index)という先行指数で、景気後退の兆候を見抜く方法も必読。逆にみんなが知ってるGDPは計算方法で見せかけの数字を作ることが可能なので、いろいろな指標を参考にしないといけません。

そういう意味でも情報リテラシーを高めることは何よりも大切。ダンさんおすすめは、日本の新聞では日経新聞、マーケットデータではブルームバーグ、その他にも多くの新聞に毎日目を通しているそうです。もちろん全部を読む尽くすのは現実的ではないので、見出しを流し読みして、気になった記事を深く読むそうです。

英語のニュースでのおすすめにCNBCが挙げられています。一般の人を対象にしているので、文章が短く読みやすいとのこと。これは私も同意。私はイギリスのエコノミストという雑誌が好きでよく読むのですが、英語が無駄に難しい・・・。疲れている時は頭に入ってこないレベルなので、CNBCやNewsWeekなどの読みやすいニュースをサラッと読むようにしています。

まとめ

私がダンさんが好きな理由は、日本の外に目を向ける大切さを今回の書籍でもYouTubeでもうったえ続けていること。日本はすばらしい国で、福祉も充実していて、勤勉で優秀な方々がたくさんいます。でも外に目を向けると、日本が抱える問題点が肌レベルで理解でき、今後持つべき選択肢が見えてくるのかな、と思います。「世界のお金持ちが実践するお金の増やし方」は、その第一歩となるとなること間違いなしです。


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