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ずっとかわらない(でほしい)もの【FSレポ③】

日本で「レリゴー」旋風が吹き荒れた2014年。その翌年、株式会社オリエンタルランドは東京ディズニーシーにおける「北欧」テーマの第8テーマポート開発を発表。
あの2015年からかれこれ9年の歳月を経て……東京ディズニーシーの第8テーマポート「ファンタジースプリングス」がついにその門を開いた。

エリア内を歩き回ると、新たな景色が次々に飛び込んでくる……それだけでも最高の経験だっただけでなく、エリア内の各アトラクションはそれぞれの魅力にあふれ、ディズニーテーマパークや東京ディズニーリゾートの歴史に名を残すものであったと思う。またそれだけでなく、このエリアが東京ディズニーシーに新たな価値を吹き込むであろうことは間違いない。

この記事では東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」について書いていこうと思う。
今回のテーマは「アナとエルサのフローズンジャーニー」。


Something Never Change…?

ずっとかわらない(でほしい)もの

「アナとエルサのフローズンジャーニー」の前評判がやけに良かった。

詳しくは以前に書いた記事を参照してほしいが、世界のディズニーパークにある「アナ雪ライド」とは一線を画するアトラクションであることが事前にわかっていて、特に一新されたシーン割りや最新のオーディオ・アニマトロニクスに評価が高まっていた。そして、ボートがスイッチバックして前後に移動することも話題になっていた。
しかし、乗って衝撃を受けたのは、内容でもアニマトロニクスでもなかった。ボートでもなかった。

タイミング調整である。「アナ雪」はタイミングが命だ。

具体的に衝撃を受けたのは3箇所だ。
「とびら開けて」と「ヴェリィ(映画のオープニング等で使用されているheyanaの曲)」では、オーケストラの盛り上がりのタイミングとボートが水路に着水して水飛沫を上げるタイミングがぴったり合わせてあり、音楽的効果を伴っているのだ。これは、「カリブの海賊」にもなかった圧倒的な演出である。
また、我らが「レット・イット・ゴー」のシーンでは、「少しも寒くないわ……」とエルサが扉を閉じるあの映画でお馴染みの瞬間に、ちょうど水路上の扉が閉まる演出がなされている。すごい、すごすぎる。

タイミングという意味では、アトラクションの「リセット」が全く見えないという執念深さも感じられた。アトラクションには、ゲストのために作動してみせた一連の仕掛けが、次のゲストのためにスタート地点に戻る瞬間がある。もちろん前を向いて乗っていれば見えることはそうそうないのだが、ライドの車間距離が詰まってしまったときや後ろをじっと振り向いてみている場合など、見ることができる場合も珍しくない。
ただ、「フローズンジャーニー」は全く見えない。マジで見えないのだ。

THE BESTの称号へ

こうしたタイミング調整はゲストの満足度を高めることができるのだが、東京ディズニーシーにおいてタイミング調整という文化は完全崩壊していた。有名なのは「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」と「海底2万マイル」だろう。
待ち列解消のためにライド台数を増やしすぎた結果、乗降エリアにライドがスタックしてしまう。前のライドとの距離が詰まってしまうため、演出が作動しない・遅れて作動すると言った不具合が日常茶飯事になっていた。
タイミング調整で一歩先を行っていたのは「センター・オブ・ジ・アース」だった。最後に急上昇・急降下のシーンを持つため、安全上の意味合いもあるのだろう。

つまり、古典ライドの名作である「カリブの海賊」の演出力を凌ぎ、最新技術で「世界最高」の称号を与えられることもあった「センター・オブ・ジ・アース」にすら並ぶ、「アナとエルサのフローズンジャーニー」は世界最高品質のディズニーアトラクションだといえるのである。

「アナ雪」はタイミングが命。現在は入場制限がかかっているファンタジースプリングスが広く公開されたとき、初めてその真価が問われる。ゲストが増えればライド台数が増やさざるを得なくなる。そのとき、アトラクションの店舗は崩されることがないのだろうか。それとも、ボート間隔の調整は避けられないのだろうか。

🦞ロブスターさんとカニさん🦀

ところで、現在イクスピアリのトレイル&トラックで開催中の「ファンタジースプリングス ニューチャプター・ビギンズ展」に参加したとき、「アナとエルサのフローズンジャーニー」のコーナーにすごいものがあった。

そう、めっちゃリアルなロブスター🦞である。

「えっ、なにこれ、めっちゃリアルなロブスターおるやん。マジでこんなにリアルな必要ある?」当時の正直な感想である。

そしたらね、いたのよ。魚屋のショーウィンドウに。

めっちゃリアルなカニ🦀である。
よく見てみると、両隣の魚もそれなりにリアルである。

こうしたロブスター🦞やカニ🦀を踏まえてアレンデール王国を歩き回ってみると、まあゴロゴロあるのだ。「アナ雪関係ないのにやけにディテールにこだわっている箇所」が。
例えばこちらの水飲み場。

花王が提供する手洗い場の柱に、やけに由緒正しそうな偉い人が木彫りされている。アレンデール王国の過去の王様だろうか?

それから、こちらの窓はどうだろうか。

ところどころぼやけている部分があるが、これは光の写り込みでもピンぼけでもない。窓ガラスが弛んでいて凹凸があるのである。

「ファンタジースプリングス ニューチャプター・ビギンズ展」によれば、東京ディズニーシーのフローズンキングダムは単に『アナと雪の女王』を参照するのではなく、北欧の文化も大いに取り入れて新たにブラッシュアップされているようだ。
表向きには映画の世界観を取り入れながら、その背景にある実在の文化も反映してリアリティレベルを上げていくという手法は、東京ディズニーシーの至るエリアで行われている。ファンタジースプリングスに隣接したアラビアンコーストやロストリバーデルタなどはその一例であろう。

ロブスター🦞とカニ🦀が、ファンタジースプリングスに東京ディズニーシーらしさを加えている、というのは言い過ぎだろうか。

模範的社会人のティンカー・ベルさん

勤怠管理もお任せよ!

個人的に最も感激したのは、「フェアリー・ティンカーベルのビジーバギー」だった。

理由はとても単純で、映画を通して好きになれなかったティンカー・ベルというキャラクターを、まさかこのアトラクションを通して好きになると思わなかったからだ。

次回
☞ファンタジースプリングスとは、理想的な「ランド化」である【FSレポ④】

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