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第四走目:走るサガットとテーピング・ハイ

2023/08/20
6.5km - 7.0km、一瞬7.5km
20分

私には両肩脱臼癖という妙ちきりんな技というか持病がある。
その肩の弱さたるや、大学時代プールの入水で脱臼したレベルである。そのおかげでテーピングの知識には自信があった。何度大学の図書館でテーピングの本を借り直したことか。ほぼウチの本だった。とはいえまたテーピングをする羽目になろうとは思いもしなかった。ましてや走るためである。言うまでもないが、走るのはやっぱり嫌いである。

患部がどうなっているかを確認する。
左膝は曲げた時に半月板の右下が痛い。膝自体筋が細いのでいきなりの荷重に耐えれなかった可能性があるが、昔調子に乗って60kgの男を背負ってスクワットした時痛めた古傷の可能性が高い。ああ、バカめ。どちらにしても負荷を分散させ、足を落としたときに左右真っ直ぐに落ちるように補強する。
右足は小指付け根の骨が痛みの元だと分かった。左に比べて骨が逆アーチになるように上がっている。上下させると下に押した時に痛みが走る。おそらく、左足の膝起因でよろけた際に無意識に足の小指側の面で着地しているのだろう。最善策ではないが親指側に先に着地させるよう補強する。左膝の経過を見て骨の位置を正常化させよう。
ついでに全く関係なく痛かった左の手腕の外側もテーピングしたら、弱そうなスト2のサガットが出来上がった。巻いた後スクワットしてみる。動きづらいが痛みは感じない。タイガーアッパーカットも一応やってみる。全患部が痛い。この動き二度とするまい。

念のため正しいフォーム五ヶ条を読みながら動きを確認する。左膝は問題ないが、右足は左寄りの「?」みたいな形にテーピングしているため足首の可動域がいつもより狭い。試しに階段を下りてみるが「ットントーントン」というリズムでぎこちない。調整をかけるが患部が左右不均等なのでテーピングの適正な張りがまだ掴めない。今日は目線を気にしない。肩と腰は水平にしたままよろけた回数と足の動きのみを観察する。1回左によろける度に、1アッパーカットとカウントしよう。

リズムを変える方が多分難しいので今回は同じ速さで走りたいが、ついていけるか微妙。でも最低でも6.0kmは死守する。ダメなら止める。まあ止めたらまた20分走ればいいだけだ。ん?最初から?そういや一時停止ボタンがない。じゃあ地獄じゃん。絶対止めねー。
アイシングを守神のように近くに置き「ワークアウト開始」ボタンを押す。

「タイガー」という言葉に引っ張られて「eye of the tiger」をかけたせいで左腕のテーピングも相まってただのロッキー憧れ減量エセボクサーが鏡の中で走っている。目が死んでいるのは減量の断食のせいではない。走りたくない上にテーピングの成果が不安なのだ。

痛みが怖いので6.5kmからスタート。開始後1分後左膝に貼ったテーピングがちょっと剥がれたのが見えた。やべ、と思うがまあ想定内。動くんだもの。あ、右足甲も剥がれてる。これはやだな。1アッパーカット。テーピングのせいか左足は真っ直ぐなのに、右足が外向きになっている。左右均等じゃ、2アッパーカット、ないから走ってて痛みが出るんだな。いつもと違、3アッパーカット、う矯正を入れているからか、右の腰に変な筋肉痛がある。もしかすると、4アッパーカット、左足の膝のせいではなく、右足が原因、5アッパーカット、では?

あまり良くないが10分経ったころ7.0kmにスピードを上げた。テーピングの強度と耐性が見たかったからだ。リズム的には普段走る7.0km, 7.5kmの方が走りやすい。というかこの二つの速さは体感的に走るリズムが変わらない。故にアッパーカット数も少ない。8.0kmは流石に試していない。ただ、アッパーカットからの立て直しに速さが求められる。今は問題ないが、今後速度を上げたり、時間数を伸ばした時にどうなるか。うーん。テーピングをもう少し考えてみるか。明日は右足を痛み避けではなく、ガッツリフォーム立て直しの方向で直してみるかとか考えているうちに終わってた。

結局全部で7アッパーカットだった。すぐさまテーピングを外す。痛みは全くない。テーピングの目的は成功と言える。
しかし、腰と肩の高さは気にしていたが、殆どテーピングのことしか考えていない。もはやテーピングハイになっている。テーピングを試すために走るという形式でいい。しかし、テーピング頼りは良くないので、あくまでも密かな楽しみに留めなければ。
因みに言うまでもないが、ランナーズハイは今日も来なかった。アイツいつ来るんよ?

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