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和解への道3~牡蠣編~

前回のおはなし

さて、牡蠣のお話。

牡蠣は子どもの頃から好きでした。ただし生牡蠣に限る、んですが。家族と買い物に出たときに、帰りに生牡蠣スタンドに寄ったりすることがときどきあって、それからずっと生牡蠣は大好きなんですよね。

なのになぜ火が通ったとたんに、嫌いな味わいに変わってしまうのか。焼いたり揚げたりした牡蠣は大っ嫌いな人生を送っておりました。なんだろう、パサパサ感なのかなんなのか、生牡蠣以外とは距離を置いて生きてきました。

大人になったある日のこと、知人が居酒屋に誘ってくれました。
森下だったか門前仲町だったかそのへんの、店内にはU字型のカウンターがあるお店。「孤独のグルメ」でゴローさんが入ってウーロン茶を注文して、隣のおじさんと「飲まないのか?車か?」「下戸なんですよ…」「見えねえなあ!」というような会話をして、つまみをおかずに白ごはんを食べていそうな、そんな雰囲気の居酒屋。(もしかしたら本当に登場してた居酒屋なのかもしれない)

牡蠣フライがおいしいよ、とその知人。火の通った牡蠣は嫌いなので「食べられないんだよねえ…」と言うと、「ここのは絶対大丈夫!」「無理だったら残してもいいから!」というので、(その食べ物が好きな人がいう「絶対大丈夫」は嫌いな人にとっては全然大丈夫じゃないのよ)と思いながらも、じゃあ遠慮なく残す前提で食べてみたら……お、おいしい! 食べられるどころかおいしいじゃないか!

というわけで、その日から牡蠣は全面的に大好きな食べ物になったのでした。
和解どころか全面的に友好条約です。
牡蠣フライだろうと焼きだろうとグラタンだろうと、もちろん生牡蠣も、大好きです。おいしくいただきます。

こんなふうに、嫌いだった食べ物を大人になってから好きになることもあるんですよね。「○○が嫌いだ」と言うと「おいしい○○を食べたことがないから」と言われたりすることはよくあるかと思いますが、(火の通った)牡蠣に関しては本当にコレでした。あのとき「食べてみて!」と言ってくれた知人よありがとう。

ただ、牡蠣はあたると大変だと聞くので、ちょっとあやしいようなところでは食べないですけどね。生でも火が通っているものでも。

ではまた。

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