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日常に、小さな冒険を。

*このnoteは、ギルドハウス十日町 Advent Calendar 2020 13日目の記事です。

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「冒険」というと、どんなイメージがあるだろうか?

未知への挑戦?危険な旅路?非日常な体験?

wikiにはまぁそんなようなことがかいてあるのだが、
ところで、私は生活RPGというジャンルが昔から大好きだった。

ダンジョンから木を切って持ち帰ると家や家具が作れたり、釣りや野草摘み、畑で作物を育てて、それらの料理もできる。街の外ではモンスターもいるけれど、モンスターを手懐けてペットとして育てることもできたり。

王道RPGのように他の誰でもできなかったことを勇者がこなすわけではないのだが、森を探検して新しい野草を発見したり、家を創作したり、料理の道具を自分でつくってみたりというのは、(個人的な)未知への挑戦と近しいところがある。

どうぶつの森が爆発的にヒットしていたが、昔ながらの自然的な暮らしや、村や島という狭い場所での空間づくりや人との繋がりが、生活なのに非日常で、癒やされていたのではないだろうか。

つまり何が言いたいかというと、こういった生活も十分に冒険なのではないかということだ。

田舎暮らしの当たり前を、生活RPGのように皆で楽しくこなせないだろうか?

そんな妄想をするようになったのは、エンジニアとしてPCの前にずっと座っている1日に疑問を持ち始めた頃だった。

ゲームの中で実際にやっていることは(ファンタジーな要素は除いて)ほとんど田舎暮らしで実現できそうだった。皆が都会に出るのは多分稼ぎやすいからだろうという想像はできるけれど、それ以上のことはまだよくわからないし、稼げないなら自給自足する?と思ってもその大変さもよくわからなかった。そんなわけで田舎移住の検討を始めた。

まず自ら暮らしてみるのはもちろんだが、「生活RPGのように」となると、人が自然と集まるような小さな村となるような土地、もしくは宿が欲しい… 現役エンジニアの技術も活かしてゲームのようなアプリもつくりたい。そんなことをイメージしながら情報を探していると、出会った。

【まちかどギルド】と【ギルドハウス十日町】

お?すでに似たようなことをやっている人がいるじゃないか。まさにアプリとリアルな場所。
"ソーシャル隠居"を実践するハルさんが発起人だ。

まちかどギルドは、町の人の困り事や頼みたいことをクエストとしてアプリ上にアップし、冒険者(旅行者)に頼むことができるサービスだ。全国の拠点にギルドマスターがいて、ギルドマスターは町の人と冒険者との架け橋になる。
畑のお手伝い、雪かき、お祭りのお手伝いなど…

私はひとつの「ファンタジーな世界観の村スペース」を持ち、家づくり、狩猟、釣り、火起こし、料理などをクエストとしてイメージしていたが、かなり近い仕組みだ。
より場所にとらわれない、それぞれのまちに適応していく「システム」という印象。

田舎に住む人にとっては「仕事」でも、都会の人からすると「遊び」になることは、今まで畑や薪割りのお手伝いなどを通して強く感じていたので、とても良い仕組みだと思った。

まちかどギルドは現在一般公開はしていないようで、ギルドハウス十日町は「住み開き」という変わった方法で運用している。固定住人がいるからシェアハウス?ゲストを受け入れているからゲストハウス?どちらでもなく、あくまで主のハルさんの家である。ゲストは冒険者として無料で泊まらせていただけるらしい。素晴らしいコンセプト。

よし、いくしかない。

移住先を探して群馬県みなかみ町に滞在していた私は、十日町がある程度近かったのですぐに向かうことにした。

十日町の山深い道に突然現れた「ギルドハウス十日町」は、たくさんの乗用車がとまっていて、異質なような馴染んでいるような、不思議な存在としてうつった。

中に入って声のする方にいくと、コタツを囲んでたくさんの人が談笑していた。気づいたハルさんが、コタツのあいているところに案内してくれて、コーヒーを出してくれた。お土産のみなかみのおまんじゅうを出したら、皆が喜んで食べてくれた。

ユニークで面白い所だった。

年齢層も背景もバラバラ。大学生もいれば、地元のおじちゃん、何年も住んでいる住人さん、車中泊旅の拠点として泊まりにきた人もいた。ハルさんまちこさんご夫婦には1歳にも満たない小さな赤ん坊はるまくんというお子さんがいて、カオス度を高めていた。笑

エンジニアやテック系界隈の人ばかりのシェアハウス「ギークハウス」もなかなかカオスだったが、それに近しいようなまたちょっと違うような雰囲気と思っていたら、ハルさんもギークハウスに住んでいたらしい。

あとで考えると、似ているところは「フラットさ」だったと思う。

年齢も性別も職業もスキルレベルもバックグラウンドもあまり重要ではなくて、上下で人をみない。マイペースで、あまり話さない人は無理に話さないし、存在していることを常に受け入れてくれるような安心感がある。

やりたいことがあれば応援してくれるし、困ったことを伝えると一緒に考えてくれる。基本的には自立した人間として扱ってくれるので過度に世話は焼かないほどよい距離感。

もちろん、人と人同士すべてうまくいくわけではないと思うが、なんとなくそんな基本姿勢で共同生活をしているみなさんの中は心地いいなと感じた。

それを頑張ってやっているというより、皆がそれがいいよね、と思って自然とやっている感じが素敵だと思う。

一泊しかしなかったが、たくさんの人が往来した。
家主さん、地元の消防団の方、近くのイベントで出店していた方々、まちかどギルドC・E・O!と貰い手探し中の子猫(笑)

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地元の人も外の人もたくさん往来するのがすごくいいなと思った。来客がこんなに多い日は珍しいらしいけれど。

イベント出店の方の中にはミュージシャンの方もいらっしゃって、コタツの居間でギターで弾き語りをしていった。なんて自由な空間だろう。

こんなに沢山のひとが行き交いながら自由に交流するのは、さながらルイーダの酒場か、まさにギルドハウス、もしくは冒険者の宿屋かな。

「暇なので何か手伝わせてください!」と言ったら料理と芋掘りを手伝わせてもらった。
芋掘りは案外すぐ終わってしまったのだが、晴れた日に土の匂いを感じながら一緒に芋を掘るのはじつに気持ちがいい。

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芋掘りのあとに、先に掘り出して乾燥させておいた芋をオーブンで焼いたら、死ぬほど美味しかった。来客の皆さんとも分け合った。
なんて豊かな時間なんだろう。
そうそう、こういうクエストをみんなで楽しめたらいいんだよなぁ。

ここでは皆でごはんを一緒に食べる。noteを読んで知ってはいたが改めて驚いた。初日の夕飯はすっかり作ってもらいごちそうになったので、2日目は非力ながら手伝わせてもらった。キッチンには野菜が特に充実していて体に良さそうだ。

皆でこれがいいかなぁなんて言いながら作るのはとても楽しかった。食べてもらうのも、作ってもらうのも嬉しい、暖かい時間だった。

ハルさんからアプリの話を聞いていたときに、「アプリはきっかけで、来てからは直接コミュニケーションするのが大事」という趣旨の話を聞いたが、それを実感するような体験だった。

ハルさんは不思議なオーラをもつ人だった。

柔らかい雰囲気で、なんでも受け入れてくれそうな印象だけれど、所々に芯の強さも感じる。自分が先陣を切るけれど、人が後からついてきてくれるのでそのあとは皆が動きやすいように整えていく勇者タイプ。(勝手な印象ですw)

まちかどギルドの話を聞かせてもらったとき、ハルさんは人に伝えるのが上手いという印象と同時に、私の話をとてもよく聞いてくれているという印象も強かった。
人がたくさん往来しているときも、さりげない言葉をかけたり紹介してつないでくれたり、ハブ的な立ち回りをしていた。

ギルドハウスに人がたくさん集まるのは、ハルさんがいると思うと妙に納得できる。人を惹きつける魅力があるのだと思う。見習いたい。

現在みなかみ町に移住を決めて引っ越してきたが、まだその寒さを甘くみていた私は足りないものを揃えるので精一杯な状態だ。

生活RPGのような場所をつくりたい。

妄想していることはたくさんあるが、大事なのは、どんなスタンスで人と繋がるのか、集まる人にとってどんな体験になるといいのか、どんな出会いがあるといいのか、一人一人に耳を傾けられるか。
結局はやっぱり、人と向き合うということになるんだろうなと学ばせてもらった。

大それた冒険ではなくても、新しい出会い、クエストの助け合いの中で繋がる人と人。十分にワクワクする冒険だと感じた、ギルドハウス十日町だった。

居場所をつくる側に立つと、また一味も二味も苦味と甘味の強い冒険が待っているのだろう。

みなかみ町の藤原地区にギルドハウスをつくりたいって言っている人がいたよ、と教えてもらったので近々会いに行こうと思う。RPG感満載。

日常の中に、小さな冒険を。

そんな居場所づくりの冒険の旅に…… もうちょっと落ち着いたら出てみようかな。笑

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