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【ためスモインタビューvol.10】豊かな人生を富山でーー民泊「コスモス」オーナー・鈴木建郎さん

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▲富山市八尾の景色

富山湾に富山平野、そして立山連峰を一望しながらお酒を楽しめる贅沢なスナックが、富山市八尾(やつお)にあります。その名も「コスモス」。そして同地に、この度民泊「コスモス」がオープンしました。

「おわら風の盆」と呼ばれる行事で有名な八尾。ここでコスモスを営むのは、東京の会社を定年退職し富山へ移住された鈴木建郎さんと、富山で生まれ育った奥様のひさ子さんです。

スナックや宿を始めるに至った経緯や、東京での暮らしとの違いについて伺いました。

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◎東京から抜け出したかった

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▲富山市八尾の「おわら風の盆」 ©︎とやま観光推進機構

ーー鈴木さんに伺いました。富山に移住されるに至った経緯を教えてください。

生まれは福島ですが、ずっと東京や外国で仕事をしていました。満員電車に揺られて、朝早くから夜遅くまで働く生活の中で「人生の充実感が得られず、自由な場所が欲しい」と思っていました(笑)。2003年に60歳で定年退職して、すぐに富山へ移住しました。

もちろん、妻の故郷だったという理由が大きいですが、「おわら風の盆」は好きだったし、なんと言っても食べるものが美味しくて。魚の美味しさは日本一だと思います。

おわら風の盆とは
二百十日の初秋の風が吹くころ、おわら風の盆の幕開けを迎えます。毎年9月1日から3日にかけて行われるこのおわら風の盆は、今も昔も多くの人々を魅了します。涼しげな揃いの浴衣に、編笠の間から少し顔を覗かせたその姿は、実に幻想的であり優美で、山々が赤くもえる夕暮れを過ぎると、家並みに沿って並ぶぼんぼりに淡い灯がともります。
それぞれの町の伝統と個性を、いかんなく披露しながら唄い踊り、その町流しの後ろには、哀愁漂う音色に魅せられた人々が1人、また1人と自然につらなり、闇に橙色の灯が浮かび上がり、誰もがおわらに染まっていきます。
越中八尾観光協会HPより引用)

ーー富山への移住で困ったことはありましたか。

特にありません。妻がもともと八尾の人なので、地域にはすんなりと受け入れてもらいました。家族でなくとも、地域とつなげてくれる人が一人いれば受け入れられやすいのだと思います。

ーー地域に根付いた「おわら風の盆」に、県外から移住して関わることはできますか。

はい。私は移住してから胡弓(こきゅう)という楽器を習い、演奏するようになりました。残念ながら2021年の「おわら」は中止が決まったのですが、例年は私は胡弓、妻は踊りをやっています。

ーー県外から移住された立場から、「八尾」はどんな町か教えてください。

「おわら」のおかげだと思いますが、文化的なレベルが高い町だと思います。音楽や歌によって人と人がつながっているというのも珍しい場所です。おわら文化が根付いているので、「美しさ」に対する意識が高く、地域の人々と話していても話が面白いんですよ。

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▲スナック「コスモス」からは美しい景色が望める

ーー奥さまが経営されるスナック「コスモス」は、富山を一望しながらお酒が飲める贅沢な立地ですよね。ここでスナックを始めようと思われた理由はなんだったのでしょうか。

妻が常々、「景色の良いところで仕事をしたい」と言っていたのです。素敵な富山の景色が堪能できるこの高台を見つけて、スナックを始めることにしました。

「コスモス」は私の好きなお花で、妻がそこから名付けました。

ーー素敵な理由ですね!スナックに加えて、民泊もオープンされた理由を教えてください。

実は、東京オリンピックを見据えて2年前に宿の許可をとりました。その年は9月の「おわら風の盆」の頃に一晩で10名のお客様がいらっしゃるなど、とても賑わっていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大でずっとクローズ状態。一日も早く元に戻ってほしいと願っています。

ーーお隣では、息子さんがダイニング「あら田」を営んでおられるとか。

そうなんです。長く妻がスナックを経営してきましたが、男性だけが夜に飲み歩く時代は終わったと思っています。次は家族で集まって食事もお酒も楽しむ時代になると思い、息子にダイニングを始めることを勧めました。

コスモスに宿泊されたお客様には、妻の手料理も息子の手料理も両方楽しんでいただけます。和洋中、全てお任せください。

◎「語らい」のある宿にしたい

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▲宿からの景色も素晴らしい

ーー富山を訪れた方々に、どんな富山を体験していただきたいですか。

なんと言っても、私が県外から来て一番感動したお魚を味わっていただきたいですね。そして山も海も綺麗なので、両方楽しんでいただきたい。

コスモスでは、県外からこられたお客様にはお刺身と焼き魚をお出しするようにしています。野菜も地元で採れたものを使っています。

ーー民泊「コスモス」をこれからどんな宿にしていきたいですか。

宿泊される方とゆっくり過ごして、お話をしたいんですよね。ご飯をゆっくり食べていただき、「語らい」のある宿にしていきたいです。

ーー八尾以外で富山のオススメスポットを教えてください。

南砺(なんと)市井波の町が好きです。井波は彫刻の町とも呼ばれていて、町を歩いているとあちこちから彫刻家の方々がノミを打つ音が聞こえてくるんですよ。石畳の素敵な街並みです。

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▲井波は彫刻のまちとして、日本遺産にも登録されている
©️とやま観光推進機構

他にも、「日本のベニス」と呼ばれる新湊(しんみなと)の内川で夕暮れにお茶を飲むと最高ですし、南砺市城端の和菓子屋さん「田村萬盛堂」でいただくお菓子も好きです(笑)。

八尾は富山県の真ん中にあり、東西どちらへのアクセスも良いので、県内を巡る時の拠点にしてもらえればと思います。

ーー富山を訪れた方には、ぜひ鈴木さんオススメスポットへも足を運んでいただきたいですね。

▲新湊・内川の景色

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伝統文化の根付くまちには、「旅の者」が入りづらい雰囲気を感じるかもしれません。しかし、文化を継承し、その地域の良さを地元の人以上に感じている移住者の方々もたくさんいらっしゃいます。

ぜひ、移住者の方の体験を伺いながら、富山での暮らしを想像してみてください。

ためスモパートナーは、皆さんの富山での滞在を全力でサポートいたします。

<今回ご紹介した ためスモパートナー>
鈴木建郎さん
福島県郡山市出身。東京で会社員として勤めていたが、2003年、定年退職を機に奥様の故郷である富山県富山市八尾(やつお)へ移住。移住後、「おわら風の盆」には欠かせない楽器・胡弓の演奏を習う。16年前に奥様が富山平野を一望できるスナック「コスモス」をオープンし、6年前には息子さんがコスモスの隣でレストラン「あら田」を始めた。2年前、同じ敷地内に民泊「コスモス」をオープン。ゆっくりと語らうことのできる宿にしていきたいと意気込む。趣味は絵画。宿には鈴木さんの描いた絵が飾られている。


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