隈研吾と富山
現在、東京国立近代美術館で開催されている「隈研吾展ーー新しい公共性をつくるためのネコの5原則」(2021年9月26日まで)。みなさんはご覧になりましたか。
本展では、「都市を上から見るのではなくて下から見るべきである」という隈さんの考えから、「ネコの5原則」という視点で隈研吾氏が設計した公共施設に関する展示がなされています。
実は、富山県内には隈研吾さんが設計された建物がいくつもあります。そこで今回は、富山に溶け込んだ「隈研吾作品」についてご紹介します。
◎富山市ガラス美術館(富山市)
©︎富山市
観光名所としても有名なのは、富山市ガラス美術館(富山市)です。富山県産スギをふんだんに使ったデザインが特徴です。
外観には御影石、ガラス、アルミの異なる素材の組み合わせが使われている珍しいデザイン。表情豊かな立山連峰をイメージしています。また、内部は富山県産材の羽板が連なっており、見上げるとその美しさにハッとしてしまうかも。南からの自然光が美しく分配される作りになっています。
建築を楽しんだあとは、ガラス美術館でガラス作品を鑑賞するもよし、併設されている図書館で読書を楽しむもよし、「不室屋カフェ」で一服するもよし。
開催中の「隈研吾展」では、VRでキラリを体感することができます。なかなか富山へいけない!という方は、ぜひそちらで体験してみてください。
◎ヘルジアンウッド(立山町)
同じく隈研吾さん設計の新スポットが、2020年にオープンしたヘルジアンウッド(立山町)です。
本施設のコンセプトは「和洋のハーブの香り、食、宿泊、トリートメントなど様々な形で体感することで、心もカラダも本来の豊かな姿へと生き返っていけるような場所」。季節の地ものを使ったレストラン、和ハーブを中心に栽培するハーブガーデン、ハーブから精油を秀出する工場、イベントスペースが一体となっています。2022年には宿泊施設に加えサウナもオープン予定。
前田薬品工業が運営するこの「ヘルジアンウッド」は、立山連峰の麓の立山町にあります。そのため、立山連峰や麓の田園風景に建物を馴染ませるため、それぞれの機能を持った施設を点在させることにしたそう。各棟はウッドデッキで繋がれています。
建物にはハーブ入りの和紙、稲藁の断熱材などが使われており、これらは近くで作られた素材からできています。景観だけでなく、素材も地域に溶け込むように作られているのです。
◎カフェ・呉音(富山市)
木を組まずに積み上げて作られたカフェ。屋根の上には緑が広がっており、「森」を彷彿とさせるデザインになっています。この緑は発泡セラミックの緑化素材です。
目の前には芝生が一面に広がっていて、ランチやカフェを楽しみながらゆったりとした時間を過ごすことができます。
この建物に使われている角材は特別な加工はしていません。だから、解体の際の環境負荷を最小限に抑えることができ、移動も比較的簡単にすることができます。「木」の良さを存分に生かした建築となっています。
◎Snowpeak×隈研吾 トレーラーハウス『住箱』
Snowpeakと隈研吾氏がコラボして開発したトレーラーハウス『住箱』に、県内で唯一泊まることができる施設が富山県南砺市にあります。
それが利賀(とが)国際キャンプ場。百瀬川のせせらぎと満点の星空を楽しみながら隈研吾建築を堪能することができますよ。
定員は2名。1泊12,100円〜。
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富山県内には、隈研吾氏の手掛けた建築がたくさんあり、多くの人が訪れています。
富山の自然と調和する隈研吾作品たちに、ぜひ直接触れてみてください。富山で皆さんのお越しを楽しみにしています。
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