平面作品の層を手探る【土井紀子「sensor展」 レポート】

TAMENTAI GALLERYのアーティストの活躍を記録するレポートをnoteで発信していきます。

第1弾は2019年11月17日から22日まで広島市立大学芸術資料館で開催された、「土井紀子・岡里実 二人展 sensor」の様子をご紹介します。

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まず土井の「青」の作品が並ぶ部屋へ入り、つづいて土井の「白」の部屋へ移り、さらに奥に進むと対照的に薄暗い空間に岡の作品が展示されている構成でした。

土井の作品のキーワードは「層」です。TAMENTAI GALLERYで紹介しているEsquisseシリーズは、水性塗料を使って何層にも塗り重ねたり、いろんな方法を試して実験していくなかで模様やかたちが偶発的に出来上がるのに面白さを見出した作品群だと過去のインタビューで説明していました。

今回展示された作品は、「塗り重ねた」そのあとに「削りだされた」もの。通常は絵具を重ねていくことで「完成」に近づけていきますが、『作品の途中段階で自分にとって魅力的な画面になったとしても、その上に絵具をまた重ねて「完成」させなければならない』ことに疑問があったといいます。そこで、絵具を何層にも重ねたあとで、少しずつ画面を削ることで表層を「掘り出した」のがこのシリーズです。

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土井紀子「blue #1」 2019.  水性塗料、パネル. 1,620×1,940mm

平面での表現の可能性を探る中で、どうやったら面白くなるだろうかと実験を繰り返しているうちに、枠組みにとらわれない技法で作品を作るようになったということで、出来上がった作品はその構造として「時間経過の塊」だといいます。

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挑戦的な姿勢は展示方法にも表れていました。作品を水平面に置いたり、床から壁に立てかけたり、奥まったスペースに展示したり、パネルを壁に垂直に展示したり...

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そんな見慣れない展示の仕方にはじめは驚かされますが、次は何だろうと考えながら作品を見て歩いていると、視線を横にだけでなく上下にも向けることになります。

これはいったいどういうことだろうと、つい癖でなにか答えを探しながら作品を見てまわっても視界は開けません。土井自身が作品を「手探り」でかたちづくる行為の延長で、見る者は完成した作品の間をまた手探りで進んでいく、そんな鑑賞体験でした。

土井紀子・岡里実 二人展 sensor
期間:2019年11月17日(日)-11月22日(金)
時間:11:00-18:00
会場:広島市立大学芸術資料館5階展示室
住所:広島市安佐南区大塚東3-4-1
https://www.hiroshima-cu.ac.jp/event/c00017090/
土井紀子
1997年 山口県生まれ 
現在   広島市立大学芸術学研究科造形芸術専攻絵画研究分野 在学中
現在は抽象的な絵画作品を中心に制作。独特の雰囲気が特徴的で、見れば見るほどに不思議な感覚を喚起する。作品についてや最新の展示情報はTAMENTAI GALLERYのアーティストページからどうぞ。
https://tamentai-gallery.art/collections/doi-kiko

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