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初めて味が記憶を呼び起こした

今までドラマ等で「昔食べた味だ…」と懐かしさで涙する感動的なシーンを何度か見たけど、正直、昔食べたものを形で覚えていることはあるものの(駄菓子とか)味で覚えていることって今までなくて、ずっと大袈裟に言ってる、演出なんだと思っていた。


昔、私がまだ小学生かそれよりももっと前に、地元でパン屋をしていた友人(のお父様)一家が、新天地で新たにパン屋を始めることになったそうで、遠方に住む私に好意でパンとクッキーをたくさん送って来てくれた。

もちもちふわふわの食パンにいろんな惣菜パン、甘いパンを少しずつ切り分けてつまみ食いしていた。

そこで、クッキーの詰め合わせの中のアーモンドヌガークッキーを食べた時。

急に、頭の中に昔の記憶が飛び込んできた。

親か祖父母に連れて来てもらったそのかつて友人のお父様が営んでいた地元のパン屋で、私はその日その日で食べたいパンを選びながら、最後はいつもレジの近くにあるアーモンドヌガーの乗ったラスクを選んでいた。

あの味だ。

すっかり忘れていた昔の日常の記憶に、懐かしさで胸が締め付けられた。私にも思い出の味があったのだ。

二口程度のタイムトラベル。

遠方から旅行するのが憚られるこのご時世。いつかまた何の障害もなく旅行できるようになった時には、思い出のヌガークッキーと美味しいパンを求めて友人のパン屋へ赴きたい。


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