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追い求めているものは

猫がベッドの近くまでやってきた朝。左うでを、ぞりんぞりんと舐める。くすぐったいような、痛いような感覚。まだ眠たいので腕を動かす。動かしたのに、猫はまだ舐め続けている。よほど、おいしいのか。早く起きろよと思っているのか。

ごろんと寝返りをうち、腕をのけたら……細く開けた窓から雨が入ってきていた。今朝の雨は、風に乗って吹き込んでくる。猫は私の腕についた水滴を舐めとっていたらしい。

台風はどこまで来たのだろう。また出張になるのか。被害が落ち着いてからになるのか。出張せずにすむくらい、何もなければいいな。

ぼんやり思って、頭はっきり目が覚めた。もう前職を離れて3年は経っている。それなのに、まだ前職での仕事を気にしている自分を不思議に思った。

日常のなかでは、もう前職でしていた仕事内容を思い出しもしない。それでも、地面や山の形、地形、橋や道路が気になるのは職業病のなごりだろうか。自然災害が起こるたび、その規模や発生状況がぼんやりと気になってくる。もしかすると、自分が思ってもいないあいだに趣味化していたのかもしれない。

気づくと長く続けていること。その中に、その人が追い求め続けている真理があるという。私が追い求めている真理は何だろう。私が気にしているモノコト達に共通する内容や思いは、どこにあるのだろう。

それがわかると、自分の生き方にも、より確信を持てるのかもしれない。

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