積み重なりが気になってたから
一枚、また一枚。うすく重なる泥の層を竹へらを使ってはがしていく。中で硬さの違う層に行き当たったら、硬めの毛で作られた刷毛に持ち替えて、続きの層をはがす。
はがした先に見えるものは、建物の柱が入っていた穴であったり、古いごみ捨て場だったりする。だから気を抜いてはいけない。
今日、はがしている辺りは重要な書類を置いていた当たりという。少しずつはがすしかない。竹簡とかでてくるのかな、何が出るのかな。出ないかもしれないけど、楽しみ。
でも、いっそ。ガツンと。ブルトーザーでまるごとはぎ取ればいいのに。はぎとってから、必要なものだけを戻せばいいのに。
ずしんずしん。どんどんどん。
遠くから大きなものが動く音、機械の打撃音も聞こえてくる。
「ついにアレがやってきたか。時間切れだ」
顔をのぞかせたのは巨大な怪獣。そこにあった泥の層を大きな腕でがさりとはぎとり、羽根ぼうきでばたばたとほこりを落とす。
そうだ。机まわりのそうじは、発掘現場のときみたいに、ちまちまやらないほうがいい。ガツンと全てを机や本棚から出してしまって、要るものだけを整とんして戻せばいい。
いらない紙類、どれだけおいてあるんだろう。
保留にしていたメモ、とりあえず取っておいたデータ、どれだけばらまいてたんだろう。
しかたない。早く片付けないと、怪獣が火をふいて燃やしてしまう。いっそ、怪獣に燃やされた方がいいんだろうか。
どんどん、ずしんずしん。ガタン。
……悩んでいたら、目が覚めた。いつもより30分ほど寝坊した朝。
コーヒーメーカーの動く音、近所の工事もはじまりそう、玄関で靴を出そうとしている音がする。
今日は机まわりを片づけよう。びっくりするくらい紙が重なっている。重要書類も埋まってるかもしれない。一度、机の上をリセットして掃除しながら整とんだ。
サイトのデータ管理もした方がいい。バックデータを面倒だなんて言っていられない。画像ファイルも整理するか。
きっと、そのことが気になってたから、こんな夢。
たぶん、そうだ。
ようよう、はじめる気分になる。気合をゆるっと入れた朝。
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