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たこ飯が炊きあがる前に

夏になったら、お盆が来たら。どうしても食べたいものがある。
それが、わたしの場合は「たこ飯」だ。

たこ飯は、海水浴のおとも。海で遊ぶ前に、たこ壺をいくつも仕掛けておく。昼前に壺をひきあげると、運が良ければたこが入っている。

そのたこは、おやつになる。お昼ごはんは家から持ってきたおにぎり。おにぎりをかじりながら、スイカ割り用に持って来ていた棒でたこをタコ殴りにする。殴ったあとは、海の水でもみ洗いして。ぶつ切りにして、米と炊く。

炊いている間は、また海の中で遊ぶ。
たこ飯の炊けるいいにおいがしてきたら、海から上がって炊きあがりを待つ。

炊きあがったら、ちょうど。おやつ時。
熱い炊きあがりのたこ飯をお弁当箱の蓋によそってもらって、食べる。余っていたスイカを漬物がわりにして、食べる。

もうウン十年前の小学生の頃の記憶だ。
思い出したら、よだれが出て来た。

さておき、今でもお盆が来たら、やっぱりたこ飯を食べたくなるんだよ!

蒸したりゆでたりしたたこを見る機会は多いのに、どうして生のたこは売っていないんだろう。

魚売り場を行くたびに確認していたら、ついにありました!
生のたこが!!

いつもより大きめのパックに、ぬるんと入った生のたこ。お値段は、高めだけれど、仕方がない。たこ飯を食べたい欲のほうが強いのだから。

念願かなって、生のたこ。
購入した後は大急ぎで家に戻る。

【たこ飯の作り方】

たこ飯に入れるたこを用意する……
その前に米を洗って、水に浸して置く。炊飯器での水加減の目盛りを半合分くらい減らして、米をすぐに炊けるように用意しておく(たこから水気がたくさん出るから、米の量にあった目盛りまで水を入れると、炊きあがりがおかゆみたいになる)。

ぶつ切りにした生たこを、多めの塩でざぶざぶともんで、日本酒をばさっとかけて塩を洗い流す。

米の浸水時間が30分を超えていることを確認してから、炊飯器の中の水を氷5個分くらい捨てる。

その米の上にまんべんなく、ぶつ切りの生たこを広げて、氷を5個入れて。炊飯器のスイッチを押す。炊きあがりを待つ。


炊きあがりを待っている間に、しょうがの千切りを多めに作る。たこ飯の上にしょうがが乗ると、より美味しくなる。しその葉があるなら、しその千切りを添えるのも美味しい(けど今日はないから、しょうがのみ)。

そうして、あとは炊きあがりを待つだけ!

今、ちょうどいいにおい。もうすぐ炊けるたこ飯。

炊きあがったら、ふたを開ける。ふたをあけたら、きっと、きれいなピンク色にそまったごはん。上にはきゅっと縮んだたこが、ぱらぱらと散っているはず。

たこをさっくりと飯の中に混ぜ込んで。蓋をもう一度しめる。食べるのは、もうちょっと我慢。保温したまま20分くらい置くと、水分が落ち着いてもっと美味しくなるはずだから、まだ待てる。
(待てるはず、待てるといいな)

待った分だけ、おいしくなるたこ飯。
茶碗にもって、上に多めのしょうがの千切り。

おかずは、なくてもいい。だって、おやつだから。
食べるのは夕ご飯の前になるけれど、たこ飯はおやつだと決めたから、おやつだということにする。

キッチンでそろそろ、炊きあがるころ。
口のなかをよだれでいっぱいにして、炊飯器の炊きあがりのアラームが鳴るのを待っている。

そんなこんなで。たこ飯が炊きあがる前だけれど、たこ飯はおいしいよ、というおはなし。
(この炊いている途中のにおいも、文字にできればいいのに)

お盆の時期に食べるたこ飯は、何故だか、特別に美味しい気がする。
生のたこをみつけたら、また、たこ飯にするよと、心に決めて。キッチンから届いてい来る、たこ飯の炊ける匂いを満喫しているのでした。

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