感受性と表現力の話

あじさいきれいだね!

自転車に乗っている時に、ふとそんな声が聞こえた。
声のあった方を見てみると、3、4歳くらいの小さな子。
あじさいのことをきれいだと言えるその感受性の高さと表現力の豊かさが、素直に凄いと思うし、親御さんの育て方が良いのだろうと尊敬の念を抱く。
それと同時に、今後の人生において、私の口から
紫陽花キレイだな
って言葉が出るとは思えない。
その埋まらない絶望的な差を見せ付けられ、何かが零れそうになったので、少しの間上を向いてしまった。
空がキレイだと言いたかったが、あいにく曇っていて何も見えなかった。

今はスマホ1つで様々なことにアクセスできる時代になった。
道端に咲いている紫陽花なんて目に入らないくらいに、この小さな世界には刺激的なものが充ちている。
でもたまには、その小さな世界を置いてけぼりにして、今いる世界を堪能してみようかなーと。
そうやって意識して見てみると、道端にある花が、青色と紫色と交互に咲いていることを、脳みそが理解した。
その瞬間、たしかに思ったのである。

この紫陽花の咲いている景色はキレイだと。

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