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頼まれてもないのに。その48(令和五年大相撲春場所を振り返る)


 ぜんぶWBCが悪いんです。3月、あれに私の全精力が根こそぎ持ってかれたのがすべていけない。
 大谷翔平最初から最後までかっこよかったよう。村神様、信じきれなくてすまんかった。ヌートバー、日本代表として参加してくれてありがとね。選手たち、栗山監督、スタッフのみなさま、一人一人にお疲れさまと心からの優勝おめでとうを送りた
 違いますよ、ここは大相撲の話をする場所です。うん、9回表2死に回ってきた大谷-トラウトの対戦にはしびれ
 すみません。がんばって書きます。

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 横綱も大関も場所の途中から不在となってしまった場所。
 3関脇はよく頑張りました。頑張ったけど、大関と関脇との間には実力だけではない、存在感という大きな壁があるんだなあというのも痛感した場所でした。関脇じゃだめなんです。
 関脇から幕内上位の間はまだまだどんぐりの背比べ。場所ごとに調子のいい力士が交互に活躍するけれど、そのまま頭角を現し続けることができないのがもどかしいところです。
 その中では今場所優勝した霧馬山に豊昇龍、若隆景の中から一足早く抜け出す力士が出てくるのかな・・・と思っていたら若隆景がまさかの大怪我。ショックは大きいです。
 まだしばらくはこの混沌が続くのでしょうか。
 横綱照ノ富士は復帰の場所が進退をかける場所になってしまうでしょうし、大関貴景勝の今後の課題も、綱取りというよりはケガとの戦いでありつづけるのでしょう。
 ただしこういう時こそ新たな下剋上の時代でもあり、北青鵬と金峰山というとんでもない逸材が脅威の片鱗を新入幕の場所から早々に見せつけています。
 絶対王者が不在であるという不安定さを面白いと感じる人にはワクワクが止まらないでしょう。

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 霧馬山。ついにやりました。12勝3敗。優勝決定戦での逆転優勝。
 霧島と鶴竜、元大関と元横綱によるダブル指導はダテじゃありませんでした。やはり組んで取れるのが大きいです。大崩れするイメージがありません。体もまだまだ大きくなるでしょう。今場所は取り口に強さを感じる相撲がこれまでになく多数見られました。このまま地に足つけた相撲で次を目指してほしいし、達成できると期待しています。

 同じく今まで以上に今場所強さを感じられる相撲が多く見られたのが若元春。十両で長く足踏みしてきた力士たちがここへきて、下でじっくり育ててきた底力を爆発させているという感じがたまりません。
 琴ノ若も場所を重ねるごとに圧のある大きな相撲で勝つ取組が目立ってきたのが嬉しいです。この人の相撲にはときおり秘めた心の熱さが見え隠れしますね。心の熱さとちょうどそれに見合っている体の大きさが100%シンクロしたら手が付けられなくなりそう。

 翠富士は本当によくがんばりました。体力がもたずもっと早く脱落してしまうと思っていました。あの体格とプレッシャーのかかる中10日目まで土つかずは本当に素晴らしい。中盤までの場所を大いに盛り上げてくれた功労者です。
 とはいえそこからの5連敗では何の賞ももらえないのは仕方のないこと。それでも何らかの形で場所に名前を残せたらよかったのだけれど。ああ今からでも何か賞をあげたい。

 でもそういう潔さも大相撲の良さだと思えば。
 負けたものには何も残らない。たとえ準優勝でも。大相撲には準優勝の名誉はありません。優勝に準ずる成績とは言われますが。

 大栄翔。12勝3敗。今場所は調子のよい場所でした。押し相撲にはどうしてもこれがあって、この好調子が数場所続いてくれるというのはなかなか。
 大栄翔の押し相撲はほんとうにストレート。そのまっすぐで率直な押し相撲は、取る人のお人柄が感じられるとても気持ちのよい相撲。いつでも全力なのが伝わってくる、大好きなお相撲さんの一人です。が。
 これが裏目に出た千秋楽の2番でした。
 ほぼ同じ展開の相撲を2番続けて取ってしまったのはやはりだめです。一度目の相撲で気持ちだけが前に出すぎてあの負け方をしたのですから優勝決定戦では修正をしないと。とはいえじゃあどうすべきだったのかという案は私にはないのですけれど。
 組むときの駆け引き、力比べ、技能比べとなる四つ相撲と違い、押し相撲は終始自分のペースにして相撲を取らなければ良い相撲にならず、悪く言えばてめえの都合の押し付け合いという面がどうしてもあるように素人目には見えて、大栄翔の押しの力があまりに一方的であれば霧馬山にはそれを逃がしてさばくしか手がないという、それ以外の展開になりづらいのが押し相撲の欠点なんだよなと残念に思うのです。

 豊昇龍。霧馬山との一戦は実によかったです。
 ああいうがっぷり四つの取組で大いに互いの力比べ知恵比べをし、私たちを楽しませてほしいのです。豊昇龍も関脇で終わってはいけない。

 ここに若隆景の話題も入るはずだったのに。
 今場所8敗ですから来場所は小結に下がるだけとはいえ、その先は全休。何場所休むことになるかわかりませんが関取の地位が保たれた状態で復帰ができると良いのですけれど。

 公傷制度の復活がどうしても難しいのであればせめて、落ち続ける番付を十両の一番下にとどめ、それより下には番付を落とさない(ただし最大でも半年または1年のみ)などの救済措置を作ることは難しいのでしょうか。

 若隆景は場所前からの怪我をおして土俵に上がっていたという話も出ていましたし、その無理がこの大怪我につながってしまったおそれもある以上、力士の怪我についてはそろそろ本腰で何か策を講じなければならないように思います。

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 さあみなさん、おまちかねでした。
 
 俺たちの正代が帰ってきたぞー。

 この相撲が見たかったのよ。
 やっぱ素質は横綱だわ。大関すっとばして横綱よこの相撲は。
 このお相撲さんはこれでいいんだ。

 地位は人を作ると言います。でもそうじゃない人もいる。
 それがよいとかわるいとかはなく。
 そういう人もいるというだけ。

 おかえり、正代。

 そして御嶽海。
 どういう状態にあるんでしょう。トンネルの出口が全く見えません。こんなに腰高な相撲取ってたっけ。土俵外への持っていかれ方が軽すぎるよ。もっと下半身がずしりとしてたし、重戦車のように前に出る相撲を取っていたと思うのだけれど。
 気持ちだけは折らないでいてほしいけれど。どうなんでしょう。
 相撲の神様から何かを試されているのだろうなという感じはします。この試練になんとか打ち克ってほしい。

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 このように私にとってはWBCいっしょくで終わった3月ですが、今年はまだ9月にもあるのですよビッグイベント。ラグビーワールドカップ2023。どうしよう。また大相撲の開催時期とかぶるよ。
 応援したい人が多いというのは嬉しいことですけどね。
 
 さて今場所の「印象に残った一番」。まともに観れてない日が4日もあったとは。5月場所はがんばろ。北の富士さんも退院されましたし。

初日 ●若隆景ー〇玉鷲
二日目 ●霧馬山-〇正代
三日目 ●平戸海-〇宇良
四日目 
五日目 ●翔猿-〇琴ノ若
六日目 〇御嶽海-●貴景勝
七日目 ●高安-〇翠富士
八日目 〇北青鵬-●琴恵光
九日目 〇霧馬山-●竜電
十日目 〇若元春-●明生
十一日目 
十二日目 〇霧馬山-●豊昇龍
十三日目 
十四日目 
千秋楽 〇高安-●豊昇龍

 千秋楽の高安の相撲は実によかった。

 それではまた5月場所で。
 久々に両国国技館の入り待ちに行こうかしら。


武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。