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2020/7/15-16(木)

鮎を焼きました。和歌山県産の、おそらく養殖。「旬」のシールにぐいと惹かれてカゴの中に。

水で洗ってぬめりを落とし、尾から頭に向けて包丁の背でうろこをがりがりとこそげ取り、下腹部をぐいと圧迫して黄色い糞を出しきってしまいます。これぜんぶインターネット知識の付け刃。これで合ってるかどうかわからないけど、結果的にはこれで何の問題もありませんでした。水気をペーパータオルで拭き取り、あら塩を気持ち多めに振ります。両面水なしグリルで12分。生焼けが怖いのでグリル料理はいつも最弱火でやります。特に今回はワタも食べるため中途半端な焼きは厳禁です。途中で焼け具合を確認。皮がかりっと色づき、油がぽたぽたと受け皿にたまっていきます。上々です。

朝から仕込み、圧力鍋で炊きあげた玄米と合わせていただきます。シンプルだけどこれ、贅沢だな。

背中のあたりから箸で身をほぐしながら食べようとしたらぼろぼろになりました。川魚を食べ慣れていないのです。主人のお皿に目をやると頭の部分がもうありません。「ちょっと硬いけど、鮎は頭から食べられるよ」と言います。「なんだかいい香りがする」とも。「鮎って香る魚(香魚)とも書くらしいよ。だからかもね」とついさっき仕入れたばかりの知識を披露し、感心されます。主人の鮎は見るたび頭からだんだん短くなっていきます。私も真似ることにし、鮎の頭にかぶりつきます。えらのあたりでしょうか、噛み砕きすり潰すのに難儀した部分があるのですがよく噛めば食べられます。ワタも骨もそのまま一緒に。ワタはほどよく苦く、しかし臭みはない。互いの皿の鮎は二尾ともきれいにしっぽまで消えてなくなりました。

自然からではなくスーパーに教えられる季節のうつろい。今この経済が砂上の楼閣さながらさらさらと消失してしまったとき、町暮らしの人間はどう生きていけばいいんだろうと、きっとそれは考えてはいけないことです。

武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。