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2020/10/11-12(月)ある意味つらく、でも力強い読み物


「ハリー・ポッター」シリーズの第三作目、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を読んでおります。ハリーももう三年生だってさ。

さすが児童文学、様々な教訓が寓意的に描かれているなあと思いながら読み進めておりますが、なんていうのかね、けっこうストレスフルな読み物でもありますね。第三作目に入ってもなおハリーを取り巻く不快な環境は一向に取り除かれません。解決のめども見えません。

それこそ半沢直樹シリーズだといくら不愉快な相手が出てきても一巻ごとに半沢に倍返しされ目の前から次々と追放されていくので読み終わりはスッキリ爽快なんですけれども、ハリーの場合、嫌な相手に多少の意趣返しはできても、それで相手が考えを改め態度を変えるなんてことはほぼ起きてくれません。

そもそも事情を知っている誰一人として具体的な助太刀してくれないしさ。

そもそも学びの場であるホグワーツ自体、どの生徒たちにとってもかなりストレスフルな環境。

まだ4巻分ありますし3巻目も読み終わっていないのでこの先どういう展開になるかわかりませんけれども、しかしこれってものすごく教育的な展開だなとも思うのです。

生まれながらにして私たちに与えられた環境や境遇というものは、ある日突然誰かが解決してくれるものもなければ、ある日突然目の前から取り除かれるものでもなく、喜びや幸せとはまた別のものとして認容し耐え忍ばなければならないものだということ。

「それがあるからこそ人として成長できる」なんてきれいごとではなく、成長できようができまいが関係なしに、まあそう簡単に解決できるもんじゃないよねと。

ハリー・ポッターを読んでいると、そうだね人生なんて嫌なこと傷つくことの繰り返しだよねとつくづく思い知らされます。だけど現実から目を逸らさないこういう物語のほうが、現実と戦うことを選んだ勇気ある子ども達によってはむしろ励ましになるんじゃないかとも思うのでした。


武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。