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頼まれてもないのに。その39(令和4年大相撲初場所を振り返る)


今場所もまた照ノ富士が優勝するものだと信じて疑わなかったら。

関脇御嶽海が13勝2敗で3回目の幕内最高優勝。場所前は「全勝優勝なら大関昇進もありうる」などといったおととい来やがれ的無理ゲーをふっかけられたりもしておりましたが、まあ全勝には結局2勝足りないんですけれども、15日間通して相撲内容がとても充実していたことや千秋楽の横綱に完勝した上での優勝といったあたりを評価してもらえたのでしょう、優勝のみならず大関への昇進も無事手中に収めました。

月曜日でのnoteにもちょこっと書いたとおり、今場所は彼の大きな欠点3つのうち2つ、連敗癖とちょくちょく省エネ相撲を取りたがる癖、この2つが見事克服されていたのが極めて大きいと思いました。

今場所は運良く場所中の大きな故障はなかったようですが、3つ目の欠点、ケガすると数日間はあからさまに相撲のテンションが落ちる癖というのも御嶽海にはあるなーと見ていまして、これが大関昇進以降にまた見られてしまうかもしれません(でも考えてみたらそれって人として普通よね)。

まあケガをしても、すでにしていても、場所中は沈黙を貫くお相撲さんがほとんどなので実際の胸の内は場所が終わるまで、下手すると引退するまで全くわからないのですよね。

好調の時もあれば不調のときもあります。好調の波に乗れれば最強なのはよくわかっています。不調の時にこそ大関としてどういう相撲を取るのかが今後の課題となっていくのでしょう。

とにもかくにもようやく納まるべき地位に納まったという印象。改めて優勝&昇進おめでとうございます。

実力は十分だと思いますが、大関としての品位を保つにはさらなる精進が必要となるでしょうし今以上につらいことも批判も増えることでしょうが、この先も貪欲にもう一つ上を目指してほしいなと思います。

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一人横綱照ノ富士。終盤に痛めた箇所は膝ではなくかかとだったとのこと。それでも15日間土俵入りと結びの一番を務め上げ横綱としての責務を果たしました。今場所もお疲れさまでした。

11勝4敗という成績自体は横綱照ノ富士としては物足りないはずなので3月大阪場所でのリベンジを楽しみにしております。両膝もかかともゆっくりケアされますよう。

大関貴景勝は今場所もまたケガに泣かされ来場所は再びのカド番。正代は大関昇進後もっとも内容の伴わない場所を過ごし6勝9敗。安易に休場せず最後まで出場したことだけは褒められるべきだと思う一方、それしか褒めどころがないのもやはりちょっと。出続けていればどこかで持ち直すと思ってたんだけどな。終盤自分の相撲を取り戻した千代の国みたいに。

ただ正代は過去にも大関昇進を果たす数場所の前に一度ひどい連敗を経験してはいて、その時に状況としては似てるのかなとも思ったりはしてまして。正代の立ち合いって少しでも狂うと調整が難しい精密機械みたいなもんなんですかね。来場所までに取り戻せるといいですね。

阿炎。もはやほぼ完全に自分の相撲をモノにしたと判断してよいのではないでしょうか。来場所の関脇昇進、西前頭6枚目からではさすがに無理ですか?横綱を倒しての12勝3敗ですから宇良や逸ノ城を越えての昇進でも納得だけどなー、なんて思ってしまいます。謹慎前に数場所務め上げた小結時代の勝ち越しは数字上のもので実が伴ってなかったから関脇に上がれないのも当然だと思っていましたが今回は違います。さあ来場所の番付どうなるかな。

あーでも東前頭5枚目の阿武咲も10勝5敗かー。阿武咲も勝った相撲はいずれもすこぶるよかったんだよなー。相変わらず土俵際の詰めの甘さだけがほんとにねえ。

若隆景は今場所も素晴らしかった。東前頭筆頭での9勝、こちらは関脇への昇進まず間違いないでしょう。今場所新入幕の兄若元春も力強い相撲を重ねて嬉しい勝ち越し、こちらも9勝。この体型の力士が今後もどんどん上位進出して、若い力士の安易な重量化傾向にぜひとも歯止めをかけてほしいと願うばかり。

琴の若の良さがまだわかっていない私ですが千秋楽の阿炎との一番ではまだ表に出きっていない潜在力の片鱗を見たように思います。なんでこの人こんなに重いの。お父さんの先代琴の若もこんな感じだったかな。お爺ちゃんがどんな相撲取ってたかまではさすがに知らない。お父さん譲りのおっとり感も漂ってくるのが気になるので今少し様子を見ましょう。

王鵬は出だし好調でしたが悔しい結果に終わってしまいました。琴の若との一番を見てても若さというよりもっさり感のほうが互いに目立つんですけど、このサラブレットたち、この先いったいどんなふうに育つんでしょう。土俵際の器用な小技とかではなくがっぷりで力勝負できる正統派タイプに育てばいいのですがね。

宇良はついに来場所小結かな。一人だけレスリングベースの動きするのがやはり面白い。仕切るときの体の動き一つみても体にバネがあって柔らかいのがよくわかります。この先もケガだけは本当にお気をつけて。北の富士さんも以前おっしゃっていたけど前に出る相撲!

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今場所は、結局数日にとどまってしまったものの十両の相撲もなるべく見るよう心掛けていました。面白そうな若手がいつの間にか結構上がってきてたんですね。来場所はむしろ十両メインに見てみようかしら。あまり集中して見ていなかったので具体的に誰がよかったとかまではまだ語れず申し訳ありません。ようやくここへきて十両でも若さみなぎる溌溂とした相撲を取る力士が目につくようになってきました。

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あ、いけない。今場所の石浦がめちゃめちゃキレがよく絶好調だったこと忘れずに書いとかないとダメじゃない? ここ数年は相手に研究されてか不調の場所のほうが多かったことを思うと、活躍できた場所はちゃんと評価してあげたいなあ。三賞、それも技能賞ってのはこういう力士たちの活躍にライトをあてて表彰するためにあったと思うんだけど。

後半尻すぼみになっちゃったけど照ノ富士に最初に土つけた玉鷲だって本来は三賞で評価されてもよかったのに。御嶽海だって殊勲賞とダブル受賞でもよかったくらい。

三賞、お金ないのね。

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とにもかくにも来場所大阪、がぜん楽しくなってまいりました。

まずはここへきて賑々しくなった十両の若手たちの中からがつんと頭角を現す力士が果たして出てくるかどうか。そして幕内の優勝争いも照ノ富士一強とは言い切れなくなってきました。大関獲りへの名乗りを次に上げるのは誰か。幕内上位の星の潰し合いも今場所以上に熾烈になるでしょうね。

土俵の外ではまだまだ感染症との戦いも続いております。3月の大阪、心穏やかに迎えられますよう祈っております。


武者修行中です。皆様に面白く読んでいただけるような読み物をめざしてがんばります。