三三兄さんからの『三味線栗毛』。~落語勉強会「噺の種」~
「おお!これが本来の型の『三味線栗毛』!」アタシは感激し、いつか三三兄さんから習おうと思っていました。
『三味線栗毛』との出会いは入門前。
北村薫先生の『空飛ぶ馬』という短編集でした。
落語家、春桜亭円紫を探偵としたミステリ小説「円紫さんとわたし」シリーズ。その中で十八番として出てくる噺です。
大名の次男坊・角三郎と按摩の錦木との、身分を超えた友情と思わぬ立身出世を描いた、ハッピーエンドの人情噺。
「いい噺だなぁ」
いつか実演で聞くのを楽しみにしていましたが、入門前に聞くこと(客席から高座を観る)は叶いませんでした。
それもそのはず、この『三味線栗毛』の演者は少なく、持ちネタとされているのは故・喜多八師匠と喬太郎師匠、菊之丞師匠に三三兄さんくらい。
そして、この噺には二種類のラストがあります。
ハッピーエンド型と、錦木が亡くなる型。
喬太郎師匠は演題を『錦木検校』とし、最後、錦木が亡くなる型に変えています。
また、喜多八師匠もタイトルはそのままですが、やはり亡くなる型。
どうもお二人に稽古をつけた先代の文蔵師匠が「こういう形でやったらどうかな」と仰ったのを、各々が工夫され、そのような型になったようなのです。
アタシが初めて聞いたのは三三兄さんで、兄さんは喜多八師匠に習っているので、当初、錦木が亡くなる型でした。
正直、せっかくのハッピーエンドの噺を、ドラマ性を強くするために登場人物を死なせてしまうのはなぁ、と思っていました。
ところが、三三兄さんが「円紫さんとわたし」シリーズを朗読劇風に演じる「柳家三三で北村薫」という企画の中で、作中通り(亡くならない型)に演じられたのです。
そういう経緯があり教えて頂いた『三味線栗毛』。
次の勉強会「噺の種」にて高座に掛けます。
2021.11.25 HPに投稿
※テレビで紹介されていた、noteの編集機能やAI機能は使用しておりません。完全にオリジナルの投稿となります。
12月8日(水)「噺の種」第20回『三味線栗毛』
開 演:19:15開演(18:45入場)
会 場:らくごカフェ(神保町古書センター5F)
木戸銭:予約1800円/当日2000円
番 組:落語3席
主 催:玉屋柳勢(自主公演)
<噺の種>
この「噺の種」は10年、20年後を見据えたメインの勉強会。寄席や落語会で掛けるネタを仕込む大事な研鑽の場所。
特に初演はお蔵入りする可能性も。
お聞き逃しのなきよう…。
<自主公演の詳細とご予約はこちら>
■噺の種(神保町らくごカフェ) 12/8(水)19:15
■ここだけの話(神田・鼠の穴) 11/27(土)15:30
■101らくご(大手町・竹橋) 12/26(日)10:30
■ヒルラクゴ(大手町) 11/18(木)12:10
<玉屋柳勢(たまやりゅうせい)とは>
落語協会の噺家。2020年3月下席より真打に昇進。六代目 玉屋柳勢を襲名いたしました。これまで師匠方から「直に」受け継いだ落語。それはアタシの財産です。その楽しさと伝統をお伝えできたら嬉しいです。
プロフィール詳細は公式HPのこちら
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