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落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『花ことば 起源と歴史を探る』樋口康夫著~

<<感想>>
「今日の花言葉」を毎日Facebookに投稿している。
もうかれこれ3年になるだろうか。GreenSnapの情報をもとに、Wikipediaやその他のサイト情報を参考にしながら、自分なりに花言葉を通じてのメッセージを発信している。
今回、一連の取り組みを再確認し、投稿をさらにバージョンアップさせるために、花言葉に関する書籍を数冊購入して勉強することにした。この著書は、その第一弾である。歴史的な視点から花言葉を分析したものである。一部に神話や各地の風習など文化人類学的な側面があることには驚いた。

そもそも花言葉の発祥は中世のトルコ大使の妻の書簡であるといわれている。ただ、生活の中への広がりという視点で考えると、実質的には花言葉はフランスで育てられ発信されたとされている。
興味深いのは、花言葉が誕生した背景である。
神話の時代を中心に多いのは「男女の愛情のもつれから花言葉が生まれる」ということ。特に男性の浮気を妻にとがめられ、女性は捨てられる。こうした話が花言葉と関係している。

例えばアネモネ。花言葉は「思い出」「遊び」。園芸種では「失われた希望」「捨てられて」。
関係する神話は以下の通り。
美しい乙女アネモネは花の女神クローリスに仕えていたが、その夫ゼフェルス(西風という意味)に愛され、捨てられる。二人の関係を知ったクローリスはアネモネを追放。アネモネは失意のうちにやつれ果て、亡くなってしまう。自責の念にかられたゼフェルスはアフロディナ(ビーナス)に哀願して、アネモネの亡骸を花に変えてもらう。しかし、ゼフェルスはすぐに興味を失い、北風のボレアスに花をゆだねる。一方、アネモネ(の花)はボレアスにまったく気がない。アネモネの愛が得られないことに腹をたてたボレアスは、無理やりに花弁を開こうとした。アネモネは冷たい風にあたるとすぐに色があせるといわれているのも、そうしたエピソードに関係しているとのこと。

似たような話、男性が女性を弄んで捨てるというパターンはザクロ(花言葉は「愚かな行い」「愚かさ」「女性原理」「処女性」*以下カッコ内は花言葉)やスイレン(「清潔」)、スミレ(「誠実」「謙虚」)、オダマキ(「浮気」「恩知らず」)、ヤナギ(「失恋」「捨てられ軽んぜられた恋」)などがある。

それにしても、どの時代にも「悪い男」は多いものだ。ただそういう中から「花言葉」という文化が生まれたというのは何とも複雑である。

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