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黒猫とタンゴ

黒猫って人気ないらしいですよ。
嘘じゃない?
心なしか、海外の動物ニュースサイトなんかだと、黒猫が活躍しているような記事をよく見る。国内でも話題になる猫の記事は、黒猫が多い気がする。
なんとなくなぜなのかわかる。黒猫って大人しいと思う。
いや、暴れるし走り回るけど、うちのてつ坊は基本的になすがまま。
爪切りもブラッシングも投薬も苦労しない。
抱っこは嫌いだけど、捕まって踊らされたりもする。1曲分丸々。
だけど保護猫界隈だと、貰い手が現れなかったりするそう。
心当たりは、てつも兄弟のノワールも、他の兄弟は引き取られたのにしばらく残っていたとのこと。
映えないなんてのは、写真を撮る側が下手なのだ。
っていうか映えなくてもいいじゃん。可愛いんだから。
クールに見えるって、見た目だけだから。中身はぽややんとしてるから。
あの真っ黒の顔をまじまじと見ていると、次第に虜になる。
吸い込まれるのだ。鼻も黒く、ひげも黒い。ベンツマークも真っ黒だ。
それがいいのだ。

確かに私も、てつと暮らすまでは黒猫の魅力を把握しきってはいなかった。
可愛いとだけ。
正直、猫を引き取るときに色柄性別は全く気にしないので、てつが黒猫であるということは特別なことではなかった。
しかし今、見つけた黒猫のSNSのアカウントを、片っ端からフォローしている私がいる。
他の猫も魅力的だし大好きだ。しかし、黒猫は黒猫という生き物であると思う。
纏っているオーラが特殊だ。
一般的に人懐っこい子が多いので、猫初心者の人なんかはおあつらえ向けなのだ。
男の子と女の子でまた性格は違うと思うけど、男子であるうちの黒猫はびっくりするほど甘えん坊で、放っておけない。
仕事から帰れば、「見て見て!」とお腹を出す。延々と。撫でるとコロンと戻り、歩き出したと思ったらまたお腹を出す。これを繰り返す。
実家の黒猫は母と必ず寝る。しかも隣で、向かい合って。(最近反抗期なのか、背中を向けるらしいが)
時々手を繋いで寝るらしい。はっきり言って羨ましい。
日本では古来より、黒猫は幸運を招くと言われているが、その通りだと思う。
初めてまじまじとてつの顔を見たときを忘れない。
母性がぼっと湧き上がり、とてつもない昂揚感に包まれ、「私はこの子を待っていたんだ」という確信を持った。
私とたまにとって、必要な存在として現れた。
私のこともたまのことも、てつは助けに来たんだと思う。
3時4時に寝るのが当たり前の暮らしから、12時前には布団に入るようになった。
理由は覚えていないが、てつが来たからというのはわかる。
そしててつが来てから私は10kg太った。幸せ太りだ。これはでも痩せたい。

たまとてつが寄り添って寝ているのを見るだけで、満たされた気持ちになる。
私の人生に必要なふたつのパーツである。というか、大黒柱。
このふたりがいれば無敵だし、なにも怖くないと思える。
そして一緒に暮らすからには、寂しい目や痛い目、辛い目には絶対遭わせたくない。
外が暑いことも知らなくていい。たまは春、てつは夏生まれだから子猫の頃に経験しているかもしれないけど、忘れてていい。
常に快適でいてほしい。

無意識に黒猫を引き取り、今自分の判断が確実に賢明であったと確信している。

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