少年マンガのルールと時代性
最近「マンガBANG」というアプリで「トリコ」を読んでいる。1巻から38巻まで無料で、1日につき8話も読めるという手厚さ。10月9日まで読めるんで、今からでも間に合う。読んだことないやつは読め。読んだことあるやつも、なつかしさを噛みしめるために、もう一度読め。
僕は、少年マンガの中では「トリコ」が一番面白いと思っている。ちなみに、少年マンガの最高到達点は今のところ「呪術廻戦」だと思う。呪術廻戦が少年マンガとして一番完成度が高い。でも一番面白いのはトリコだ。
トリコは良い意味で単純なのだ。設定や世界観で、随所にハンターハンターの影響が見て取れるが、戦闘面ではバキのリスペクトが感じられる。
作中にある設定やギミックは結構多いんだけど、最終的には「細かいこと言わずに殴り合おうぜ」っていう、ハリウッド的バカさに支配されるおかげで、分かりやすく読み進めることが出来る。丁寧さと雑さのバランスがちょうどいい。それでいて絵も手を抜くことはなく、少年マンガらしい迫力と勢いのある展開が次々洪水のようにやってくるのだ。
ホント、僕ら読者を「ワクワク」させることに関しては、トリコの右に出るマンガはないと思う。
知能を捨てたとしか思えない、圧倒的な捕獲レベルのインフレもさることながら、初期のテリーが持ってた、トリコを上回りかねないポテンシャルや、圧倒的格上の美食會たちに、ギリギリのところで死闘を繰り広げるトリコたち。八王が登場初期に見せていた過剰すぎる強さや、(馬王の鼻息フンとか)、トリコの中に潜む「鬼たち」など(ネットではネタにされがちだが、僕がトリコで一番好きなシーンは青鬼登場のところです。)
圧倒的強さを表現する技法がハンパなく美味いのだ。直接トリコたちと戦わせずに、1シーンで「あ、コイツ今のトリコより圧倒的に強いな、逃げろトリコ」と思わせる描写を描いてくる。そんな相手に、トリコがいつも死にかけになりながら何とか突破口を見つけていくところがたまらない。
捕獲レベル、フルコース、強すぎるジジイババア達、ヒース・レジャー並みの演技力を誇るどんどんきな臭くなっていく「元凶」とか、とにかくみんなの心の中の少年たちを喜ばせる要素が入りまくっている。
今はマンガアプリで、スキマ時間に無料で読んでいるけど、スマホを持っていなかった中学生の僕にとって、無料でマンガを読みたいとなったら、まず行くのがブックオフだった。
中1から高1にかけて、暇なときに、よくブックオフに行ってマンガを立ち読みしていた。「トリコ」、「黒子のバスケ」、「TOLOVEるダークネス」を全巻読んだ。全巻読んでないマンガも含めるとまだまだたくさんある。エロ漫画とかそれこそ無数に読んだ。2時間も3時間も突っ立って読んでると、足がむくんできた。それでも、全て買ってたらウン万円になるし、他にナニをするわけでもないし、不定期に自転車漕いで読みに行っては、足の限界が来るまで読んでいた。
いつしか、僕はあの独特なにおいのするリサイクルショップに足を踏み入れることはなくなっていた。代わりに僕が利用し始めたのがマンガアプリだった。
3か月ほど前、僕の心に、ホントに小さな、風に吹かれて飛んでいくようなタンポポくらい軽い感動があった。「バキ」シリーズを全て読了したのだ。マンガアプリを使って完全無料で。最初にバキを読んだあたりから、もう4年近く経っていた。気づけば読み切っていた。