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「絵画のドレス ドレスの絵画」展②

前回の記事に続き、富士美術館で開催中の「絵画のドレス ドレスの絵画」展の覚書後編です。

第3章 19世紀後半―市民生活の発達
この章では、ナポレオン3世の統治のもと、産業革命やパリ大改造計画などを通して、一気にパリの街が近代都市へと生まれ変わった時期の絵画とファッションを紹介しています。1837年にパリとサン=ジェルマン=アン=レー間で鉄道が開通すると、パリの人々は、休日は郊外へと遠足に出かけ海水浴やポート遊びなどのレジャーを楽しむようになったのもこの時期のことです。テニスや乗馬、ゴルフなどのスポーツブームを背景に、ブルーマーズなどのスポーツウエアが、人々の生活に浸透していきました。一方で、フレデリック・ウォルトによって新しい服の販売方法であるオートクチュールが生み出され、デザイナーという職業も確立されました。

展覧会では、マネやモリゾ、ルノアールの絵とともに、クリノリンでスカートを膨らませたイブニングドレスや、バッスルと呼ばれる尻当てを使用したウエディング・ドレスやプロムナード・ドレス、アフタヌーン・ドレスなどの現物が展示されました。バッスルドレスといえば、日本では鹿鳴館スタイルとして、明治期に日本に最初に入ってきた洋服としても有名です。江戸から明治へ時代が移行し、一気に文明開化をした日本では、西洋的な社交場として鹿鳴館を日比谷に作り、着物ではなく西洋的な装いでその場所に集ったのです。鹿鳴館での装いは、当時ヨーロッパで流行したバッスルドレスだったのす。男性服も、伊達男ボー・ブランメルをはじめとするダンディたちが着用したメンズ・スーツを見ることができます。

第4章 20世紀―服飾・絵画芸術の多様化
この章では、ジャン=ルイ・フォランやモディリアーニ、マン=レイ、レオナール・フジタの絵画や写真とともに、20世紀のファッションが紹介されました。女性の身体からコルセットを取り除いたデザイナー、ポール・ポワレのイヴニング・ドレスは、オリエンタルな印象を持つ、フェイク・パールやガラス・ペーストで精巧な刺繍が施されたドレスです。当時の異国趣味をふんだんに取り入れ、20世紀最大のバレエ団バレエ・リュスの衣装も沢山デザインしました。その他にも、シャネルやバレンシアガ、ディオールなどの貴重なドレスが展示されており、大満足の内容でした。

この展覧会は、18世紀〜20世紀の美術とファッションの関係性を知ることのできる、とても面白い展覧会でした。現在、東京では緊急事態宣言が発令されたため、予定よりも早く終了してしまったとのこと。
公式HPから飛べるyoutubeに神戸ファッション美術館の学芸員、浜田久仁雄さんの解説が載っています。とても分かりやすいので、ご覧になってみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=UqpyjOvmKbQ

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