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バーベキュー場スタッフの待機時間の過ごし方。

みなさん、バーベキューをしたことはありますか?

好き嫌いはともかく、友人や家族、同僚などと、人生で一度は経験があるのではないでしょうか。

では、バーベキュー場で働くスタッフが日々何をしているか、ご存じでしょうか?

知るわけないですよね。
というか、興味もないですよね。

需要はどこにもないと知りつつ、私たちが働くバーベキュー場でスタッフが日々何をしているか、勝手にご紹介したいと思います。

スタッフが動き始めるのは、お客様のご予約時間の1~2時間前。
現場に入ったスタッフがまずやること。それは、

「休憩」です。

来たらまず休憩ってなんなの?何に疲れてるの?人生に?

「満員電車に乗ってきて疲れたのかな」と思いましたか?違います。

バーベキュー場のご予約は、お昼以降がほとんどです。準備時間を考えても、満員電車の時間帯はとうに過ぎています。
スタッフのワタル(夫)に至っては車通勤ですから、満員電車のストレスなど皆無です。

それでも、スタッフはみな、タマリバーに来た時点でなぜかすでに疲れています。
そこで、しっかりと長めの休憩をした後、重い腰を上げてサングラスをかけ、準備にとりかかります。

もちろんサングラスは憧れのレイバンではなく、われらがワークマンの作業用980円サングラスです。

「パンダ銭湯」という絵本に出てくるパンダがつけているグラサンはRayPan。負けた・・・

タマリバーの準備が他の一般的なバーベキュー場と異なるのには、河川敷という土地柄が大きく関係しています。

タマリバーは私有地を借りて運営していますが、河川法の適用範囲に位置するため、建物や壁といった構造物の設置が禁止されています。

そのため、椅子、テーブル、タープ、バーベキューコンロなどの備品・設備は、利用の都度倉庫(移動式トレーラー)から引っ張り出し、その日の営業が終わるタイミングで全て片付けるのです。

土を掘っては埋める作業を繰り返させられる気分・・・。

「タマリバーが室内だったら・・・」という、どう頑張っても解決できない嘆きの声を、スタッフであるワタルとよっしーから通算500回は聞いた気がします。

とはいえタマリバーの営業を始めて2年、設営と片付けを何百回と繰り返しているワタルとよっしーは、異常なほどの手際の良さで準備をします。

タープを張り、お客様の人数に合わせて椅子とテーブルを並べ、コンロや各種備品を設置、ゴミ箱を用意し、汚れや破損がないか等を全体チェック。

バーベキュースペースの設営が終わると、ブランコの取り付けや砂場の整備等、お子様向け遊具を準備して完了です。

この一連の動作に、一切の無駄がありません

私は経験値が圧倒的に少ないため、彼らの倍の時間がかかります。
かつて「タマリバー設営競争」として動画をインスタにあげたこともありますが、まったく勝負になりませんでした。

そうこうしている間にお客様がいらっしゃるので、受付をして、注意事項をお伝えします。

さぁ、ここからです。

タマリバー調べによると、バーベキューご利用のお客様の平均滞在時間は約3時間。

お客様がバーベキューを楽しんでいる間は、私たちは飲食店のように調理をする必要もなく、アパレル店のように接客をするわけでもありません。

むしろ嫌ですよね、急にスタッフが「ちょっとちょっと~、肉の焼き方これじゃだめだよ~」とか言って勝手に焼き出したり、「今日まじ暑いよね~」などと会話に入ってきたりしたら。

私としては、バーベキュー場スタッフはどこまでも黒子であるべきだと考えています。

ケガをしたとか、火がうまくつかないとか、何かお困りごとがあればすぐに対応しますが、バーベキューはあくまで仲間同士で楽しむものですから、こちらからいらぬお節介をすべきではないのです。

そうすると、お客様が楽しんでいる間は、基本的に待機時間になります。
お客様からのお問合せ電話の対応やメール返信、消耗品の補充や備品の清掃をすることが多いのですが、それも終わると、キャンピングカーの中で待機します。

全く需要はないと思いますが、待機中のそれぞれの過ごし方をご紹介します。

【わたくし、ナミキの場合】

常に手を動かしていないと落ち着かない貧乏性のため、タマリバーのインスタグラムを更新して過ごします。

弊社メンバーは全員「スマホを持ち始めたのは大人になってから」という年齢構成ですし、根本的に何かを外部に発信したい欲はありません。

もちろんプライベートでインスタやTiktokに投稿する経験は皆無です。

タマリバーのインスタグラムを始めたときも、何を発信したらいいのか、どう発信すればいいのかが全く分からず、迷走を続けてきました。

おじさんがハンギングテントに乗り、回るだけの動画

基本的な使い方すら怪しく、「投稿後24時間で消えるストーリーってどうやるの?ってか、どうせ消えるのになぜ投稿する必要があるの?」というレベルだったころの話です。

物は試し。「タマリバーの風景写真を撮影してストーリーにあげてみよう、でもどうやったらいいの・・・?」と眉間にしわを寄せながらインスタをいじっていると、近くにいたお客様の声が風に乗って聞こえてきました。

「あのスタッフさん、さっきからずーっとスマホいじってる。車の中でスマホいじってるだけって、ほんといい仕事だよな~」

ち、ちがうんです!私は仕事してるんです!!!

漫画を読んでいて親が部屋に入ってきた瞬間「いや、勉強してたから!」と言い訳する子どものような焦り具合で、お客様に誤解を解きにいこうと思ったくらいです。

なんならストーリーのアップ方法教えてよ!と叫びたくなりました。(今ではちゃちゃっとできるようになりました。)

【夫(ワタル)の場合】

ワタルは「妄想するのが仕事」といっても過言ではないため、空き時間は妄想の羽を広げる時間です。

というのも、弊社の新規事業はほとんどすべて、ワタルの妄想から始まっています。
つまりワタルの妄想時間が足りないと、会社で新たな企画は生まれません

だからこそ、彼には存分に妄想してもらう必要があります。

といっても待機中はキャンピングカーから動けないので、ワタルは主に旅行やアクティビティ系の動画を片っ端から見ていき、「面白いコンテンツはないか、これを工夫してこんなことができないか」といつも頭をぐるぐるさせています。

でもはたから見ると、完全に「仕事中に永遠と動画を見ているやばいやつ」ですね。残念・・・。

【よっしーの場合】

よっしーは、いつも何をしているか謎めいています

ある時は動画の編集作業をしていたり、ある時はスマホで電子書籍を読んでいたり(何を読んでいるかは詳しく教えてくれない)。
またある時は、徹夜明け(理由は詳しく教えてくれない)で睡魔と戦っています。

ただ、週に一度のルーティーンは決まっています。それは、

「クモがいなくなるスプレー」をいたるところに噴射して回ることです。

学生時代に探検部に所属していたよっしーは、南米アマゾンのジャングルでインカ帝国の財宝を探しまわったり、手漕ぎのゴムボートで無人島に行ったりしていたはずなのに。

なぜ、ジャングルにいるであろうタランチュラは大丈夫で、タマリバーに住む小さなクモは許せないの・・・?

こんな感じで3人の思い思いの一人時間をご紹介しましたが、こういった時間の過ごし方はそろそろ終了です。

夏が来るからです。

あと1週間もすれば、キャンピングカーの中では何もしません。というか、何もできません。

バーベキュー場の仕事をして初めて知ったのですが、レジャーで炎天下にいるよりも、仕事で炎天下にいるほうが辛さは増し増しです。

タマリバーをはじめてから、屋外で仕事されている方への尊敬度数が爆上がりしています。

スマホをいじる元気すらなくなり、天を仰ぎ、塩タブレットを舐め、ただ時が過ぎ去るのを耐えるのです。

そんな夏が、そろそろやってきます。