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最終便に想う 増富きゅうりのヨーグルトサラダ #まいにち土鍋

20年弱、毎月2回配達してもらった「野菜ボックス」の最終便がきた。胸がぐっと熱くなる。


畑山農場との出会いは、ある画家のかたからの紹介だった。イタリア修行から帰国してコッチョリーノが道なき道を歩き始めたときのこと。92年から99年まで日本の陶芸界を留守にしていたので、帰国後どこに向かって歩いたら良いのかもわからなかった。

人形町の老舗画廊でのグループ展で、コッチョリーノの前で足を止め、たいそう丁寧に作品を観てくださった。それだけでも嬉しいのに、たくさんの作品をご購入くださり、そのあともまたそのあとも、そのかたと、そのかたのお友達やお知り合いがコッチョリーノのうつわを気に入って買ってくださったのだ。


そのかたは、もういない。
今は亡き女流画家。


ある日、アトリエにご招待いただいた。帰りぎわ「知人の若いご夫婦が農業を始めたのよ」と、野菜ボックス配達スタートのチラシをくださったので、幼稚園生だった我が子にもいいかなと思い野菜をお願いするようになった。何度か畑にもお邪魔した。大豆の研究をしていた子と、地大豆の雑草とりや収穫、脱穀をお手伝いさせてもらったこともある。

工房と住居を移すのを機に、野菜ボックスを解約。まずは、住む地のまわりにたくさんある産物を食べよう(地産地消)。それから、近隣の野菜や果物、畜産物に伸び進もう。実際の畑には近くなるので、足を直接運んで畑山さんに会いに行きますと手紙を書いた。

食べること大好きな子は、ここの野菜でできているといっても過言ではない。毎回、ボックスに入ってくる「レシピ」数々はものすごい枚数だった。引越しの荷物を詰める前に、大事にしまった。料理本よりリアルな享受。

宝物は、からだの中にある。


「増富きゅうりのヨーグルトサラダ」

写真は、地元の伝統野菜「増富きゅうり」。サイズ感がわかりにくいが、バターナッツ並に巨大なきゅうりだ。

オリーブオイルとヨーグルトで和え、塩胡椒で味付け、レモン汁を絞り庭のミントを添えてサラダにしてみた。熱くなった胸が、少しだけ鎮静した。

増富きゅうり(北杜)


8月23日(火)
盛る「片口コッチョリーノ」

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