【薬剤師が解説】マイナンバーカードを病院・薬局でつかうには~本人確認の手順と便利機能3選~
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしたけれど、まだ実際につかったことがない人もいるのではないでしょうか?
「病院や薬局に行ったときのつかい方が分からない」
「機械の故障や急な停電などで顔認証ができなかったらどうなるの?」
そんな不安を解消するために、マイナンバーカードを健康保険証として利用するときの手順や、準備しておくとよいものをお伝えします。
マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、従来の健康保険証にはない便利な機能がつかえるようになります。そのうちの3つを詳しく紹介しましょう。
2024年12月2日以降、健康保険証の新規発行が行われなくなります。従来の健康保険証は2025年12月1日まで、もしくは有効期限が2025年12月1日以前の場合はその期限まで使用できます。マイナンバーカードを持っていないひとや、マイナンバーカードの健康保険証利用登録をしていないひとには「資格確認書」が2024年12月2日以降、順次発行される予定です。[1]
マイナンバーカードの健康保険証利用
マイナンバーカードの健康保険証利用登録をする方法には以下の3つがあります。[2]
1)病院や薬局の受付の顔認証付きカードーリーダーで登録する
2)自分のスマートフォンやパソコンからマイナポータルで登録する
3)セブンイレブンのATMで登録する
いずれの場合にもマイナンバーカードと利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁の暗証番号)が必要なので、あらかじめ確認しておきましょう。
顔認証付きカードリーダーでの本人確認
病院や薬局で健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカードをつかって受付をする手順を解説していきます。
本人が顔認証付きカードリーダーを操作できない場合や、家族が代理として病院・薬局で受付をする場合もあるでしょう。そんなときも心配ありません。
・本人が病院・薬局に行く場合
1)窓口にある顔認証付きカードリーダーのカード読み取り口にマイナンバーカードを置く
2)顔認証または利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁の暗証番号)を入力の、どちらかの方法で本人確認をする
3)過去の医療情報(受診歴や処方された薬などに関する情報)の提供に同意するかしないかを選択する
これで受付完了です。
顔認証付きカードリーダーの機種によって実際の手順は若干異なるかもしれません。不明な場合は各医療機関の受付で尋ねるとよいでしょう。
デジタル庁の公式YouTubeでは手順が動画で解説されています。一度見ておくといいかもしれませんね。[3]
・家族の代理で本人確認をするには
ちいさなお子さんや車いすをつかっているひとなど、顔認証をすることや顔認証付きカードリーダーの操作が難しい場合もあると思います。そんなときは、家族が代理で利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁の暗証番号)を入力しても構いません。[4]
・オンライン資格確認ができないとき
機器の不良や停電など、何らかの事情で顔認証カードリーダでのオンライン資格確認*ができない場合があるかもしれません。マイナンバーカードの券面には健康保険の情報が記載されていないので、マイナンバーカードの提示だけでは資格確認ができません。
資格情報のお知らせ**を保険証利用登録をしているマイナンバーカードと一緒に提示することで資格確認が可能になります。
マイナポータルにログインすると、トップページで自分の健康保険の情報を表示させることができます。表示された情報とマイナンバーカードの本人情報を照合することで資格確認が可能です。マイナポータルで表示された健康保険の情報を、あらかじめPDFファイルとしてスマートフォンに保存しておくと、いざというときに困らずに済むのでおすすめです。[5]
資格確認*:患者の健康保険が有効かどうかを確認すること。
資格情報のお知らせ**:氏名や健康保険の記号・番号などが記載された紙のカード。資格確認書[1]とは異なるので注意が必要。
知っておくと便利な機能3選
健康保険証利用登録をしたマイナンバーカードには、従来の健康保険証にはない便利な機能があることをご存じでしょうか?
ここでは、そのうちの3つをピックアップして詳しく見ていきましょう。
1.もしもの時に役に立つ
災害による避難時や救急搬送時に、治療や服薬に関する情報を正確かつ迅速に活用できます。
・避難時
マイナンバーカードと利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁の暗証番号)によりマイナポータルにログインします。
・救急搬送時
救急隊員によるマイナンバーカードの読み取りによって情報を取得できるので、利用者証明用電子証明書パスワード(数字4桁の暗証番号)は必要ありません。[6]
2.医療費が高額になったときに
病院や薬局で支払う医療費が高額になった場合に一か月の負担上限額を超えた部分の金額が支給される、高額療養費制度があります。マイナンバーカードを健康保険証として使用することで、事前に制度利用を申請したり、病院や薬局での支払いで一時的に高額な医療費を立て替えたりする必要がなくなります。[7]
3.確定申告の医療費控除の入力が簡単に
e-Taxを利用してオンラインで確定申告をする場合は、マイナポータルから医療費通知情報の自動入力ができます。医療費控除の対象となる1月から12月までの医療費通知情報が取得できるようになるのは翌年の2月9日からです。[8]
マイナンバーカードをつかうときのために
マイナンバーカードに健康保険証の利用登録をしたけれど、使ったことのないひともいると思います。筆者もつかい方やメリットを知らずに、マイナンバーカードは引き出しにしまったままでした。
これからマイナンバーカードを使用するひとにも、まだマイナンバーカードを持っていないひとにも、この記事が参考になると幸いです。
【参考】
[1]デジタル庁 > ホーム > 政策 > マイナンバー(個人番号)制度・マイナンバーカード > マイナンバーカードの健康保険証利用 > 資格確認書(マイナ保険証以外の受診方法)
[2]厚生労働省 > ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > マイナンバーカードの健康保険証利用方法 > STEP2.マイナンバーカードを健康保険証として使うための登録をしよう
[3]デジタル庁 > ホーム > 政策 > マイナンバー(個人番号)制度・マイナンバーカード > マイナンバーカードの健康保険証利用 >【動画版】医療機関・薬局での利用方法
[4]厚生労働省 > ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問 > Q13.子どもの場合、本人が顔認証付きカードリーダーを操作できない場合はどうするのですか。
[5]マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について | 令和5年7月10日 保発0710第1号 | 2. 1のケースにおける資格確認及び窓口負担
[6]デジタル庁 > ホーム > 政策 > マイナンバー(個人番号)制度・マイナンバーカード > マイナンバーカードの利用シーン > 非常時におけるマイナンバーカードの利用シーン
[7]ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医療保険 > マイナンバーカードの健康保険証利用のメリット > 2.手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
[8]国税庁> 令和5年分よくある質問> マイナポータル連携> データが取得できない場合> マイナポータル連携で医療費通知情報を取得できる時期