【日本酒×エンタメ】業界の垣根を越えて、あらゆる分野の人と日本酒の新たな価値を届けていきたい
皆さんはエンターテイメントという言葉を聞いてどのようなイメージを持つでしょうか?
辞書的な意味は、「人々を楽しませる娯楽やサービスのこと」ですが、もっと広義には「人の心を魅了するもの」のことを総称してエンターテイメントと呼んだりします。
私は、日本酒のエンターテイメント性が時代の変化とともに落ちてきてしまっていることに課題感を感じています。
今回は、そんな日本酒×エンタメということをテーマに私が考えていることをお話したいと思います。
エンタメ業界とタッグを組む必要性
このnoteでは何度も書いていますが、昔のように日本酒を造れば買ってもらえるという時代から、世の中は変化してしまいました。
ただ日本酒を造っているだけでは、どんどん業界が縮小していってしまいます。
モノ消費の時代から、コト消費、そしてイミ消費の時代と言われていますが、それはもちろん日本酒も同じことで、商品自体に付随する“体験”や“イミ”をしっかりと生み出していかないといけない。
単に商品としての日本酒ではなく、エンターテイメントとしての日本酒を消費者に届けていきたい、と考えています。
ここで言うエンターテイメントという言葉は、バラエティや芸能人、映画などのことを指す訳ではありません。
お酒は昔から様々なシーンで楽しまれてきました。冠婚葬祭、新年のお祝い、新たな出会いを生み出し、コミュニティを創る。これらはみんなエンターテイメントです。
昔はそんなエンターテイメント性を日本酒も持っていた。だからこそ飲まれていた。もう一度エンターテイメントとしての日本酒を届けていきたいと感じているのです。
しかし、これまで美味しい日本酒を造ることだけを考えてきたわれわれ日本酒業界だけでなんとかしようと思っても、なかなか上手くいきません。
エンターテイメントとしての日本酒を届けるためには、エンターテイメントのプロの力を借りる必要がある、と感じています。
ただ、日本酒業界は、伝統産業という性質上、他業界と比べて閉鎖的です。
他業界では、業界の垣根を超えて、多くの人の力を借りて盛り上げていこうという取り組みが増えてきているのにも関わらず、日本酒業界ではまだまだそういった取り組みをしようという人が少ないのが現状です。
各酒蔵がそれぞれ家族で後継ぎを繋いできたり、伝統や歴史を守り続けてきたからこその意識ですが、このまま業界自体が縮小してしまうといずれは繋いでいくものも繋いでいけなくなる。
時代の変化に合わせていくためには、自分たちの業界の中だけで戦おうとせず、広く色んな人と手を組んでいかないといけないと思うのです。
日本酒の届けられる価値の可能性を信じたい
私が考える中でも、日本酒が生み出せる“イミ”はたくさんあります。
日本酒は、国酒として、日本の文化・慣習や四季と深いつながりがあります。
盆正月に家族で集まったとき、冠婚葬祭のとき、お祝い事のとき、親子や、兄弟の契を交わすとき、など、日本人の大事な慣習の側にはいつも日本酒がありました。
また、コミュニケーションにおいても、日本酒は昔から日本では重要な役割を担っていました。
今でも残っている特徴的なものでいえば、高知県の「返盃」という文化。
目上の人にお酒を注ぎ、注がれた人はそれを飲む。
その後、同じおちょこをお酌してくれた人に返して、今度は交代してお酌をする。
という高知県のお酒の席でのマナーです。
ご時世的に今はできないですが、この返盃もコミュニケーションを生む一種のエンタメともいえます。
返盃に馴染みがない土地でも、とっくりからおちょこに注ぐコミュニケーションは日本酒ならではです。
そういった日本人らしい文化が残る日本酒は、今の時代の消費者にとっての特別な体験やイミを生み出せる可能性は持ち合わせているはず。
ただ、われわれだけで、それを世の中に理解してもらって、消費者に届けていけるかは別問題。
伝統を繋ぎながら良いお酒を造ることだけを考えてきたわれわれだけで生み出せる企画にはどうしても限界があります。
やはり、今の時代にあわせた新たな価値を生み出すことを生業としている人たちの力を借りたい。
ITや、クリエイターなどのエンタメ業界に通じている人たちとタッグを組んで、感動を生み出していきたい。
そんな風に考えています。
これまで日本の文化やコミュニケーションにおいて、大きなイミやエンタメ性を生み出してきた日本酒。
時代が変わって業界がジリ貧になりつつある中でも、エンタメ業界とタッグを組むことで、今の時代の人々にもまた新たな価値を生み出すことができるはずだと信じています。
コロナウイルスの影響もあり、コミュニケーションが疎遠になりつつある今の世の中。
そんな中で、人と人をつないであたたかい世の中を取り戻すきっかけを日本酒で作っていけたらいいなと思います!
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