ひとりひとりの感じ方はちがうという当たり前のことをいまいちど考えてみた
「小さなことを忘れないように、小さなことでも誰かの大きなことかも知れないって思いながら生きるようにしてるんだ。」
これは、私が去年書いて演出した「ふしぎ百々図書館」という戯曲の中でうたという一人の女性が喋った台詞です。
私は大胆な部分もあるけど、実はとても小心者で
誰とでもすぐに打ち解けられる社交性がある反面、人見知りで
自分の思ったことをはっきり伝える性格の割に、あとあとどう思われてるか、どう受け取られたか、そんなことをずっとうじうじ考えるくらい心配症です。
「人間は忘れる生き物である」とよく言われますが、それはいいことでもあるし悪いことでもあると思っています。
嫌なことをすぐ忘れるという人もいれば、嫌なことほど忘れられないという人もいるだろうし
忘れたいと努力するほど思い返す頻度が高くなったり、忘れたくないことでもだんだんと記憶は薄れていく
ちなみに私はお酒が好きで毎日のように飲むのですが、数年前からは気の置けない友人やパートナーと飲んでいると、楽しくてもケンカしててもだいたい忘れてしまいます(笑)
忘れたとしても、忘れてないとしても
生きていると毎日なにかしらがある
そこで起きたことは事実
その事実に対して沸いてきた感情も本当
その感情や、その事実に対するそれぞれの観方にケチをつけることはできない
それはその人の中の真実である
ちょっとした一言がその人のその後の何十年を支える勇気をもらえた言葉になるかも知れないし
何気ない一言がその人を傷つけて、立ち直れないくらい心を病んで一生を台無しにしてしまうことだってある
どちらもその言葉を発した人には、言葉以上の思惑も、もちろん悪意もなかったかも知れない
言葉は流れて、その音は留まることはないけれど
誰かの記憶の中には残り続けるかもしれない
かもしれない
かもしれない
かもしれない、ばっかりなんだけど
こればっかりは、別の人間だから
どれだけ想像したって、本当のことはわからない
私は、大勢の人と出会う仕事をしています。
俳優や演出、制作としては、キャスト・スタッフを含め、観客の方々
講師としても一度に30名くらいの人々と接します。
ブライダルMCとしては、ゲストの方が多ければ100人弱
全員に心を添わせることはできないし
そんなことができるとは思いもしないし、おこがましいと思ってます。
でも、それを当たり前だと投げ出してしまうのではなく
できるだけ想像すること、できるだけ思わせぶりな表現でなくストレートに伝えることを心掛けています。
これは自分自身を守ることでもあると思うけど
相手を尊重したいと考えてのこと
私自身、日々、些細な言葉に小さく傷ついたり、根に持ったり(笑)元気をもらったりしています。
そんな私から出てきた言葉
「小さなことを忘れないように、小さなことでも誰かの大きなことかも知れないって思いながら生きるようにしてるんだ。」
うたを演じた利佳さんの口から改めて聞くと、恥ずかしくもあり、でもとても大事に言葉を発してくれたので、嬉しかった
これからも、何事にもこういう気持ちで向き合っていこうと思った、いまなのでした。
これから、この戯曲はまた新たな旅に出るのだ。
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