ハーモニーの不思議(軍楽隊を聴いて)
ふとした事から軍楽隊の演奏に関心を持つようになった。
ドイツ軍の金管楽器は実に美しい。ハーモニーとはかくあるべし、といった響きである。曲想さえ違えればそのままブラームスやブルックナーになる。
様々な式典に際しての演奏しか聴いていなかった感想だったのだが、ある時公道を行進して行くのを沿道の観衆が撮った映像を見て意外だった。
すぐ近くを通り過ぎる金管楽器は皆が皆上手ではないのである。漠然と大変洗練された音響を期待していた耳には結構なショックであった。
何処かで読んだ記事の記憶が蘇った。かつてのベルリンフィルの弦楽器、就中ヴァイオリンは決して全員が名手だったのではない、というものだった。
目の詰んだ、その上艶のある響きに感嘆していた私はそれを読んでも半信半疑だった。観念的に理解していたと言っても良い。
しかし金管楽器群での体験をした今、私は心からその記事を信じることができる。
ドイツ軍が奏でるバッハのコラールが如何に厳かか、マーチがどれほど引き締まってそれでいて柔らかいか。音楽する人々は聴いてみたら良い。そしてハーモニーの不思議に思いを馳せてみたら良い。
因みにベートーヴェンもマーチを作っている。当然余技だが、他の行進曲の前後に聴くと力量が頭抜けているのが分かる。
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