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プロ仕様の券売機

あるSNSで駅の券売機に関する話題が盛り上がっているのですが、確かに昭和の頃の単機能式(初乗り区間だけ買えるようなやつ)の時代を知る向きからすると、「あんなあれこれゴチャゴチャしたやついらんねん!わけわからん」とかプンスカするのも、まあわからんことはないのです。

省力化というか人材活用の適正化というか合理化というかで、こういった端末の多機能化や高級化もアタリマエとなっている昨今。キャッシュレスの趨勢もあって、スーパーマーケットやコンビニでもセルフレジがあちこちで見られるようになってきたからこそ、言いたいことがあります。

こういった多機能型の端末機材は、えてして価格もかなり高価だとききます。そして、これまで駅員さんやスーパーのチェッカーさんが操作していた乗車券発行端末やレジスターもかなり多機能となり、それなりに高価だとききます。

だったら。

数ステップの作業で事が済むローテク形の端末を多めにセットしておいて、それでは用をなさないハードなオーダーを求めている人のためにハイテク形の端末を用意する。まあ、ここまではよくある話だと思うし、コンビニのセルフレジは前者の設定がよく反映されているように感じます。そして、自分はさらに上級の「プロ仕様」の設定を提案したいのです。

どういうことか。

例えば、スーパーマーケットのセルフレジで並んでいると、勝ち組とそうでない組の機材占有時間がすさまじく違う。
前者はバーコードの位置もササッと合わせてピッピッと小気味よくマイバッグの中に商品が入っていく。そして会計も音声が出るやいなやパッとパネルに触れてカードなりQRコードなりを通してスッとレシートを受け取っていく。すべてにおいてカッコイイ。颯爽。クールビューティ。イケメン。
後者はすべてその対偶。まずかごを置くところからトロい。マイバッグをセットするのに不要なチェックを入れる。向きとかどうでもええやんけ。そして品物をあれこれクルクル回してなかなかコードを通さない。通せないのだとは判っていてもわざとやっているとしか思えないぐらい、なかなか進まない。そしてどうにか終わったと思ったら会計を何でするかが決まっていないらしく、そこから財布を探し始める。そして現金不足か何か知らんけど、結局カードを取り出す。どこに挿入するのかカードを端末の前でグルグル彷徨わせる。たまりかねたかのように店員がサポートに出たら出たであれこれグチる。行列作りのベテランやね。たぶん数学は出来なさそうやけど。
それやったら多少時間食ってもいいからチェッカーのいる列に並んだ方が、ご自身もこの後の列の方も、もう少しハッピーだと思うんですよね。

で、ここからが本題。前者の仲間には一定数、おそらくいると思うんです。

現職、もしくは元職。要するに経験者。文字通りのプロ。

こういう方々だったら、おそらく中途半端な端末よりも、チェッカーさんが扱うフルスペックの機材の方がむしろ速くかつ高度に片づけることができるような気がするのです。もしかすると新人のチェッカーさんにお願いするよりも、自分でやった方が速く済むと思います、的な。

これが駅となると、最近だともっと顕著な例もあります。

駅員さんが扱う端末はかなりの高機能であるゆえに操作も複雑で、有価証券を出力できる機材なので会計も厳格となるため、管理も大変です。払戻や取消にもさまざまなルールがあって、窓口担当者はそのあたりも心得ておかないと、とても仕事にはなりません。すなわち、これをある程度お客さん任せ、つまり機械でできる範囲に収めることができるようになれば、担当者の育成もメンバーを厳選しやすくなるし、他の業務に振り分けることもできるようになります。

ところが、冒頭の話題に出てくる駅の高機能券売機は、プロが扱う端末と比べて、操作を簡便にしているようで手数が結構多く、簡単なきっぷ(東京駅で新大阪に行く直近の新幹線をおとな1枚)でも10回以上タッチパネルに触れる必要があります。しかも、少しこだわりを加えようならその度に画面が切り替わって手数が増えるし、思っていた画面が出てこなければ戻るか取り消して最初からやり直すしかなく、徒労感ばかりが募ります。そしてこういった端末は、えてして不慣れな人間が触るとなおのこと占有時間ばかりが延びてしまって生産性が上がらず、すぐに済むはずの人をひたすら待たせるという本末転倒感を大量生産するということになります。

それならば、駅のプロ向け機材はどのようになるのか。

はっきり言って洞察なしの私見なのですが、有資格者でないと触れないようにロックをかけられるようにした上で、駅員さんが扱う端末と同じもの(会計処理など部内で重要となる分野は使用できない)を駅構内に設置する。そして有資格者というのは現業経験者か、設置会社が一定の基準を満たした者にのみ使用許可を与える、いわば免許制にすればいいと考えています。試験のみの一発認定でもいいでしょうし、数時間の研修プラス修了者であれば余裕でクリアできるような試験を組み合わせて、有料で運営すればいい。言うなれば、ハードルを高く設定した会員制とも言えるかもしれません。

正直、旅客JR6社共通でこういったシステムがあるのであれば、初期研修費3万円、受験料1万円。年間更新研修5千円/年ぐらいなら出しますよ、自分なら。あ、有資格者(勤務経験ありor旅行業関係の国家資格所持者)は半額とかだったら確実に申し込みます。

管理するのは大変だと思いますが、スマートな社会を機械任せにするのであれば、こういった体制もあっていいのではと思うところを、今日は書きました。

それでは次回の投稿まで、ごきげんよう。

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