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8月の雨~WoTと私~

私は聖人ではない。それを知っている。
私は聖人であろうとする。それをする者に、天の恵みがある事を知っているからだ。

私は就職に向けての研修を終え、心地良い緊張感から解放されて、いつものように臥せっている。
朝に水やりしたベランダの鉢植えは、太陽を受けて昼には渇き、また水をやろうと布団を出た。
田舎人には分かるのだが、風が湿っている時は雨が降るという教えがある。
窓を開けた時、私は晴天の中に湿った風を感じた。
私は水やりは止めて、また布団にくるまった。ほどなくして雷鳴が遠くから聞こえ、雲はゆっくりと頭上を覆い隠していった。

強い雨であった。岡山のニュースで「道路が冠水しているので○○号線は通れません」と流れている。そのアナウンサーの声を打ち消すように強い音で雨粒が地面に打ち付け、轟々と音を鳴らしていた。

その音の中で、私は午睡をした。うるさい雨音のせいかよく眠れず、半覚醒といった状態の眠りであった。幼い頃を思い出す。

ゲームを長時間していると、母はよく私を叱った。私は基本的な勉強は難なくこなしたので、あまり勉学に励んだ記憶はない。友達がゲームをやっているのを、羨ましく思っていた。普通の小学生なら触るであろう任天堂DSといったゲーム機も買い与えられなかった。家族で一緒にできるWiiだけが、家にある唯一のゲーム機であった。1日1時間という制約は重かった。

大学に入り、ゲーミングPCを買った時が文明開化だ。マイクラ・Steamの様々なゲーム・そしてWorldofTanks。何度も建て直したブロックの城。恐竜を追いかけて走ったARK。核ミサイルを隣国に打ち込んだ日。永遠に焼き続けたおばあちゃんのクッキー。そして戦車。
どれも素晴らしい世界観を私に提供してくれた。

その中でもWoTだけは特別な存在だ。

大学に数年通い続けて発症した鬱病。病気との闘いの中で、現実から少しでも離れさせてくれたゲームがWoTであった。
WoTのコミュニティの所属することで出会った多くの友人たち。私を嫌いな実名ではない「玉虫さん」と呼んでくれる人。そしてコミュニティを旅する中で発見した秘境ウンバボ。

「インターネットの人間関係なんて薄いものだ」
そう教えられてきたけど、それも嘘であると最近分かった。
こんなに濃い人間関係があるとは、私も知らなかった。

雷鳴が止み、雨音が小さくなった。
夕食の支度をしなければならない。
でかけよう。
明日も待つ人がいることを知ったのだから。


インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。