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配信がSNS化している

あくまで日本だけの話だけど(前置き)

昔のニコ生というのは、インターネットでも一歩アンダーグラウンドというか、閉鎖的なコミュニティというイメージがあって、そのコミュニティに所属している者にしか開かれていないものだった。(と思う)

ゲーム実況においては、これが2010年頃から15年頃までの配信行為のほぼ全てであった。ゲーム実況という面だけにフォーカスすれば、2012年頃からニコニコ動画で獲得した視聴者を生放送に流入させることで、実況者は視聴者を獲得していた。
ニコニコ生放送はそういう半閉鎖的なコミュニティの中で、配信者と視聴者の間には隔絶された関係があった。

もしゲーム実況の視聴者が、配信者と同じ土台に立ってやり取りしたいと思えば、まずは動画を投稿してある程度の人気を確保し、Twitterなどで仲の良い人を増やし、視聴者を獲得した上ではじめて対等な関係を獲得することができた。

2011年、Youtubeがライブ配信サービスを開始しても、多くの実況者はすぐには流入せずにニコニコ動画・生放送での活動を続けていた。
しかし2015年頃には形勢が変わりはじめた。一つはニコニコ動画とYoutubeの収益能力の違いが大きかったのだと考える。ニコニコ動画で超人気の実況者は、Youtubeにも同じ動画を投稿すれば収益を獲得することができた。
これはYoutube全盛期時代の第一歩になった。
Youtubeを主戦場としているYoutuberが席巻する裏側で、実況者たちは地道に動画を投稿し続けた。これは生声実況・ソフトボイス実況に限らずそうであった。
ライブ配信の方はニコニコ生放送が主戦場であった。これは2010年代後半まで変わらない。

2015年頃、Twitchで配信する勢力が日本にも現れ始めた。ニコニコ生放送の良い所のみを切り取ったような配信プラットフォームは、あらゆる実況者に受け入れられた。これが第一。

第二に、同じころからYoutubeでもゲーム実況が流行り始めたこと。これによりニコニコから実況者勢力が流出しはじめた。これによってコミュニティのみに解放された配信から、ネット全体に開かれた配信へと変わりはじめた。

2018年頃Vtuberが流行りだす頃、多くの実況者と配信者はYoutubeやTwitchで活動していた。Youtubeで流行らなくても、Twitchであればある程度の視聴者を獲得することができる人が大勢いた。
Twitchでは、無名の人もゲームタイトルのタグをつけたり、少し工夫して努力すれば一流のストリーマーになることができた。

顔や声を出す事が怖い人は、Vtuberとしてデビューすることでリスクを回避できる。この技術の発達によって、多くの人が配信という界隈に足を踏み入れることになった。
さらに配信プラットフォームは増え始め、自分に合った視聴者を獲得する事ができるようになった。

これにより、少しでも人気になりたい、承認されたいという人は進んで配信を始め、コミュニティを形成するようになった。

配信者同士でもコミュニティを形成することが流行り始めると、「配信のSNS化」が進行するようになった。ニコニコ時代ではあり得なかった事だが、誰もがマシンとゲームを揃えるだけで「配信者」になれた。

現在、どうだろう。配信をしている人は、同じような人と絡み、一緒に活動するようになっている。彼らはお互いの配信を見せ合う事で、視聴者と同時にコラボ相手にもなれた。

つまり、従来視聴者側であった人が、一瞬で同じ配信者になることができるのである。もし配信者とやり取りしたければ、自分で配信を始めて界隈に飛び込めばいい。

これの良し悪しというのはまだ分からないが、そういう傾向が生まれつつあるなかで、今後ゲーム実況の界隈はどのように変化していくのだろうか。

おそらく、配信者と視聴者を隔てるものは、徐々に薄くなっていくだろう。多くの人が何らかの手段で発信する時代の中で、「視聴者だけ」する層は少なくなり、お互いがお互いの配信を見る時代が始まる。
もちろんゲームや話術に優れる人の下に人が集まる構図は変わらない。
しかしマイナー層は一定数いるし、そういう人が泡のようにコミュニティを広げ始めるだろう。

時間の問題だ。
読者諸兄も、まだ配信を始めていないなら、何か発信するプラットフォームを使ってみると良い。
あなたに魅力を感じる人が、きっと見つけてくれるから。



インターネットを渡り歩いてまだ6年、色々なカテゴリを楽しみ、「消費者」として生きています。 そんな文化の消費者の毎日思ったことアレコレを書いていきます。雑記。