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2019.02.23 鹿島アントラーズ vs 大分トリニータ @カシマスタジアム ~J1への挨拶は、ド派手に行くぜ!~

一晩経っても興奮が収まりません(笑)

ほんの3年前はJ3で戦っていた大分トリニータが、ついにJ1、しかも相手は昨年のアジア王者、鹿島アントラーズです。この時点でも大したシンデレラストーリーです。しかし、そこで喜ぶわけにはいきません。勝って、J1残留という目標に向けて走り出す為の、大事な大事な開幕戦です。

「交通アクセスが不便とはよく聞くけど、言っても同じ関東やし、(臨時駅だけど)最寄駅はあるし、昨年の山形戦の時みたいに乗り遅れで大パニックになったりすることはないやろ〜」と思って、ロクに時刻表も調べずに出発しました。

ちったあ反省しろ俺。

スタジアムに向かう鹿島線は平均で1時間に1本。しかも1時台は0で、加えて東京方面から向かうとスタジアム駅前の手前、鹿島神宮駅止まりに引っかかります。15時試合開始に間に合う為には、原則として佐原駅を12:17分に出発する列車に乗る必要があります。

なのに私は12時を過ぎた時点で、のんびりとそれより手前の成田で新勝寺見物をしている始末。

ところで、成田山新勝寺は寺に向かう手前に、こんな立派な土産物屋が並ぶ参道があるのですが、↓

寺の建物が色々と並ぶ境内の最奥、つまり観光客がもっとも足を向けないであろう場所に、なぜか土産物屋と食事処がずらりと並んでいる箇所がありました、何故その配置?

しかもこの独特の店ならび。高低差の大きい立地、寺の各建物の配置も含め、新勝寺は随分と独特のお寺という気がします。

さて、ここに来て事の重大さに気づいた私ですが、どうあがいても次の列車を待つしかありません。13:40成田発、佐原経由で鹿島神宮駅に到着したのが14:38。まさにギリギリのタイミングで、ここからタクシーでスタジアムに向かいます。タクシーの運ちゃんは吐息のたびにおんなじ調子のリズムを口ずさむ癖のある人で、その歌が微妙に神経に触ります。これが鹿島のアウエーの洗礼か。

なんとか間に合ったスタジアム。噂に名高い鹿島のスタグルをなんとか一品、ゲットできました。つみれ汁300円。ウマー。

さて試合です。大分は今オフに多くの補強をしました。特にJ2で活躍した選手が多く、世に「J2オールスターズ」と呼ばれるほどで、その中から伊藤と小塚、それに加えてタイ代表のティティパン、湘南から移籍の高山が先発出場です。

試合開始以降、ポゼッションを取ったのは大分でした。昨年と変わらぬ3バックに加えてGK高木が、隙間を見つけるようにボールを回し、機を見て右サイドにボールを供給、松本怜を軸とした縦の連携で相手の裏を取るのが昨年の大分の基本パターンでした。

そして、この試合では早速、新戦力が威力を発揮します。ティティパンはサイドアタックに特化するあまり、バイタルエリアが空きがちになっていた昨年までの大分に安定感をもたらし、守備に余裕が生まれた分に加え、高山個人の能力の高さで、大分の左サイドの攻撃力が大きく強化されました。絶えず裏抜けを狙う藤本のやや後方で、ボールをテクニカルなドリブルで前線に運ぼうとする伊藤涼太郎は、昨年浦和からレンタル移籍で水戸へ、そこでの活躍が認められての大分レンタル移籍です。

先制点は、まさにその左サイドを起点に生まれました。左サイドから藤本に向けられたロビング、これは鹿島が弾き返しましたが、それを前田が拾い涼太郎へパス、すかさず横の小塚に、そこから小塚の絶妙なパスに藤本に反応、豪快なシュートを決めました!

かつてはJFLのクラブをクビになり、当時J3の鹿児島に拾われてから大活躍して昨年、大分にやってきたという苦労人、藤本はこれでJFL、J3、J2、J1の全カテゴリーでのゴール、それも開幕戦でのゴールを達成です。

よもやの先制被弾ですが、鹿島は慌てません。細かいパスワークで大分の守備を引き剥がし、新加入の伊藤翔が動きやすい状況を作り出そうとし、さらに前半の時間が少なくなるにつれて、前線中央の攻めを厚くして、大分から主導権を奪い返しにかかります。

後半開始早々、その流れを継続させて、鹿島が同点に追いつきます。奪ったファウルからのFK、これを競合いで勝った犬飼が折り返し、伊藤翔が飛び込んでのゴールです。昨年から弱点であったセットプレーの守備は、今後も続く課題となりそうです。強力なFWと正確なキッカーのいるJ1のセットプレーのレベルの高さは、J2の比ではありません。

大分は再び勝ち越しを狙いますが、次第に鹿島にポゼッションを譲りわたし、守備の時間が長くなります。鹿島はレオシルバ、セルジーニョの剛強なセンターラインを挟んで横方向、左右に大きめのサイドチェンジを繰り返す事で、大分の縦の推進力を奪い、守備陣の疲弊を誘います。大きめなチャンスが続き、鹿島の勝ち越しも時間の問題かと思われました。

事態を大きく変えたのは、62分。伊藤涼太郎に変えてオナイウ阿道。涼太郎と同様に昨年、浦和からレンタル移籍でJ2山口へ。そこで得点を重ねたストライカーが出場した事でした。

浦和コンビ同士の交代です。

鹿島の攻撃陣がどんどん前に出る一方で、守備陣が終始藤本の裏抜けに苦労している状況で、さらにもう一人、カウンターの起点になる選手の投入です。これが決定的に効きました。最後方から送られたボールに、オナイウにマークしていたチョンスンヒョンが体をうまく当てれず交わされ、ドリブルに入ったオナイウが右足サイドで、ゆるいカーブするブレーキのかかったラストパス。見事な精度で渡ったそのボールを、藤本が再び決めて勝ち越しに成功です!

大分は疲弊したティティパンに変えて丸谷が出場、なおもポゼッションを狙い、鹿島の攻撃時間を削っていきます。鹿島は安倍、遠藤、レアンドロと交代を重ねますが、脅威ではありながら攻撃力の底上げとまではいかず、あわや藤本にハットトリック、という場面を作られる苦しい展開を打開しきれず。

見事、大分が鹿島相手に2-1の勝利です!

いささか寂しい開幕戦の数字。大分のアウエー席はよく入っていただけに残念。

勝利した選手を出迎えるサポーターの図。

殊勲の藤本のパフォーマンス。

幸せいっぱいの気分でスタジアムを離れます。バスがあるようですがバス停の位置は分からず、スタジアム駅にくる次の列車までは時間がある…

テンションが最高潮だったせいもあるでしょう。「鹿島神宮駅まで歩こう!」と思ったのは。東京直行の観戦バスが渋滞に苦しんでいる横を、弾む足取りで進んでいきます。

噂に名高い鹿島渋滞の図。はるか先までテールランプの赤い光が。

このペースでは乗ろうとしていた列車に間に合わなくね?と気付いた時には残り5分。下り坂を重力任せのダッシュをしている先に見える神宮駅に、列車が滑り込んでいる光景が。鹿島神宮駅はSuikaが使えないので、切符を買う必要があります。そんな時間は取れない!改札窓口の駅員さんに頼み、入場証明書をもらってホームに駆け上がります!間に合いました!ありがとう鹿島神宮駅の駅員さん!アウエーに優しい鹿島素敵です!

証拠の写真。成田駅にて。

乗り換えで再び訪れた成田駅で、昼間に見かけた行列のラーメン店に寄って行こうと思ったら、非常に残念な事態が。

昼間は無理していたのですね…お大事に。

仕方ないのですぐ近くのお店へ。NRTラーメンさん。柑橘の香りが効いた塩ラーメンで美味しかったです。800円。

さらに明日の朝食用に、京成成田駅構内のパン屋さん。写真中央、名物の成田あんぱんは、ふんわりクリーム入り。

それにしても胸がすく、会心の勝利でした。これがそのままイコール、J1で通用する結果だとは思いません。チャンスを逃すシーンも多く、セットプレーの課題は残ったまま。長いシーズンで好調を維持できるかも不明です。しかし、希望に溢れる、素晴らしい試合でした。大分を応援する人たちだけでなく、Jリーグを愛する多くの人の胸に届くようなこの大分のサッカーを、今後も続けていってほしいと思います。


オマケ。

カメラマンさんの横にあるカップ、私が食したの同じつみれ汁のカップなのですが、カメラマンさんが食べたんじゃありません。食べ終えて観客席の置かれていたものが風に煽られて飛ばされたものです。で、それが空中で飛んで行く時、まるで操られたかのように、綺麗な水平回転をしながらすごく不規則な飛び方をしたので、間近で目撃した大分サポが、

「UFOだ! UFOだ!」

と、試合展開と一切関係なく大きく騒めくという一幕がありました。ダゾーン中継で拾えてないかな、と思ったけど、さすがに無理だったか(笑)

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。