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2018.10.20 浦和vs鹿島 @埼玉スタジアム2002

優勝を義務付けられたチーム同士、不本意な位置での対戦には違いありません。しかし双方、序盤の不調を脱し、順位を着実にあげて行くことで得た、来年のACLの出場権を狙える位置。それを奪い合うがごとくの直接対戦です。否が応でも盛り上がる舞台となりました。

試合会場に行く前に、大崎公園で行われていた緑区まつりを冷やかすと、浦和レッズもブースを出していました。ん?レディアが登場していた?これはちょっと嫌な予感が…

この日、スタグル企画は「レッズ飯」と称して、赤味のついた辛もの系の食べ物を揃えておりました。埼スタのグルメ企画は行列&売切当たり前なのですが、今回は試合30分目の時点で売り切れ品は少なく、行列も控えめでした。辛モノはお子さんがダメですし、人を選ぶのでやや不利かもしれません。

選手入場。気合の入ったビジュアルサポートで出迎える浦和サポーター。

試合は、浦和の攻勢で幕を開けます。浦和は長澤の復帰後、トップ下を固定しないトリプルボランチの体制となり、中盤の安定性が増しています。柏木を中心に青木と長澤が前後に動いて、最前列の興梠と武藤と連携することで、バイタルを占拠。特にこの試合は、U代表で離脱した橋岡の位置に入った森脇が、大外からグイグイと前に出て、これが強烈に効きました。鹿島はマークのズレを修正できず、幾度かの決定的なチャンスを演出しますが、ゴールを捉えることができません。

序盤は一方的に守りの体制となった鹿島ですが、慌てるそぶりをほとんどみせません。苦し紛れの一発狙いのカウンターに頼るような真似をせずに、試合を落ち着かせることに専念します。ポゼションをイーブンに持ち込むところまではいかないまでも、徐々に、より確実なカウンターの起点を見抜くべく、浦和の隙を探るようなパス回しを織り交ぜ、情勢を挽回して行きます。相変わらず、実に可愛げのないチームです。

先制点は、まさに鹿島の狙い通りとなりました。攻撃で苦しめられていた左サイドでセルジーニョ、山本で起点を作ると、逆サイドのマイナス方向にループの効いたパス、これを走り込んできた西がダイレクトでシュート。自分が見ていて思わず「うまい」と唸ってしまった(言った後でものすごく後悔した)ほどの見事な連携を浴びて、浦和が先制を許します。

後半は守備を修正した鹿島相手に、浦和の優位性は失われ、互角かやや浦和不利といった状態で試合が進みます。何しろ鹿島相手の勝利から遠のいている浦和。嫌な雰囲気が立ち込めるスタジアムの上空を、昼間の秋晴れから一変した重苦しい雲が埋めて、冷たい雨と不穏な雷鳴、雷光が脅かします。

それを振り払うような、鮮烈なプレーを浦和が起こしました。宇賀神の至近距離からのシュートを好セーブされ、チャンスを逃したかと思った直後のコーナーキック、柏木から岩波へ、完璧なクロスからのパワフルなヘディングで、見事な同点ゴール。そして、この日は序盤からプレーの切れ味が際立つ武藤が、ペナルティエリア手前中央、ゴールに背を向けた体勢でボールを受けると、背後に迫る小笠原を巧みな反転で躱し、追いつく遑を与えずに強烈なミドルシュート。好調時の武藤が見せる必殺技のようなプレーが見事に決まり、浦和が勝ち越しに成功します。

ここで黙って引き下がる鹿島ではありません。すかさず小笠原に変えて鈴木優磨、負傷した遠藤に代わり小田を投入。前線のパワーを上げて、たちまち浦和をゴール前に釘付けにします。浦和も守備で計算できる柴戸と阿部、新旧ボランチプレイヤーを投入しますが、鹿島の個人技とパスワークに振り回され、ゴール前の侵入を抑えられません。鹿島のシュートミス、そして70分のあわやPKの判定次第では、同点は避けられなかったでしょう。

浦和は最後に、選手が前に進めず、ポストプレーすらままならなくなっていた状況故に興梠を諦め、アンドリュー・ナバウトを投入。運動量を生かした彼の最終ラインへのプレスで、若干、鹿島のプレー精度が鈍り、前後に開きが生じます。

そして、試合は劇的な結末を迎えました。クリアボールを拾ったナバウトが、巧みなボールコントロールで2人を引きつけてから前方へパス。そこに走り込んだ武藤はたちまち3人に囲まれますが、そこで加速をかけて一気にブチ抜きます。追いすがる昌子の前に入り、全速で迫る小田を寄せ付けず、前に出てきたクォン・スンテの足元を射抜くショット。46000人を総立ちにさせる、50メートルクラスの独走ドリブルシュート!

「We are REDS!」そして武藤コールがスタジアムを揺るがせる、最高の試合となりました。

殊勲の武藤を出迎える北ゴール裏。

ウィアダイの声も弾みます。

最高の試合に「苔むした雨神ニート」ことレディアさんも興奮したものか、天気は荒れに荒れました。一旦は弱まっていた雨は帰りの道中でも勢いが増したり弱まったり、雨具を用意していなかった同行の友人は見事にずぶ濡れとなってしまい、ゆっくり話す時間も取れずに、早々の帰宅となりました。

この結果により、浦和は3位FC東京、4位鹿島と勝ち点1の5位。ACLを完全に射程圏内に捉えました。リーグ戦のモチベーションが一層高まる一方、ミッドウィークには、これもACLが狙える天皇杯が続きます。序盤の重苦しい雰囲気を打ち消す、充実した終盤戦を迎える喜びを噛み締めつつ、実りある秋を迎えられるよう願いつつ、とりあえず翌日は武藤寿司を食べに出かけるのです。(続)


更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。