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2018.12.01 浦和レッズ vs FC東京 @埼玉スタジアム2002 ~物足りない試合と、満ち足りた挨拶~

前節の敗戦で、リーグ戦の結果でのACL出場権獲得に失敗したもの同士。なんとも中途半端な対戦となった最終節です。ミッドウィークに天皇杯準決勝を控え、主力メンバーを温存する浦和に対し、対浦和戦、特に埼玉スタジアムでめっぽう弱い東京は、勝って浦和より上位を維持して、意地を見せたいところです。

埼スタに向かう途中の道は、晩秋の気配です。

この日はスタグル特別企画の鍋まつり。「蝗活」でお馴染みのFC東京サポを迎え撃つ好企画です。ご覧の通りのちっちゃい鍋ですが、400〜500円で値段を抑えて、店舗巡りできるのはいい感じ。

この日のスタメン。

先制点が入ったのは9分、柏木のコーナーキックから李忠成のヘディングシュートでした。控えに甘んじていた選手や若手選手が多い浦和相手にもかかわらず、F東京の試合の入りは鈍いものでした。李とアンドリュー・ナバウトの積極的なプレスに、面食らった部分もあったのかもしれません。先制されて目を覚ましたF東京の中盤と、出場停止と怪我から復帰した柏木と青木、そしてリーグ初先発の柴戸を要する浦和との中盤の攻防が激しくなりますが、お互いにミスが目立ちます。浦和は選手間のパスの意図が合わずボールロストするシーンが多く、F東京は浦和の守備を崩しながらもゴールが遠い。

F東京にとって象徴的なシーンは18分。完全にフリーになったディエゴ・オリヴェイラが、フィニッシュを大きく失敗したシーン。この場面では森重からのロングフィードを受けてポストプレーを演じるディエゴに、永井と東がうまく絡んで、浦和の守備を完全に崩し切りました。このようにF東京の前半は攻撃の局面で、選手が複数入り込む場面を増やそうと目論んでいましたが、前線の選手の前後移動がやや過剰で、連携のスピードや密度のピークが、ゴール前に集中していない印象でした。サイドが攻撃的な弊害として、本来は攻撃的な東ー高萩の守備の負担が多く、それを埋め合わせるほどに大森ー橋本が攻撃に寄与しきれていない、と理解するべきでしょうか?

また、この試合は双方の選手の転倒が目立つ試合でした。冬枯れを防ぐために深く芝を刈り込めなかったのか、カウンターの場面や相手にストップをかけようとする場面で踏ん張りが効かず転倒、そこでプレーが狂うシーンが目立ち、試合のレベルにも影響を与えました。

そして何より試合のレベルを決定づけたのは、後半立ち上がり。開始早々のディエゴの同点ゴールと、そのわずか2分後の柴戸の勝ち越し弾。集中が欠けたままに試合に入って、相手のプレーを止めることもできずに喫した失点と、ファウルでプレーが止まったタイミングで相手が油断した隙を突いたクイックスタート。前半は軽いプレーでボールロストも目立った柴戸にとって、嬉しいJリーグ初ゴールですが、どちらも軽率としか言いようのない失点でした。

浦和がメンバー的に試合感覚や連携に難があるのは止む無しですが、F東京はそうも言ってられません。前半途中から掴んだ主導権を明け渡さず、浦和を自陣へと押し込んで行きます。浦和の若手組の運動量が落ち込んだ両サイドで、太田と室屋が一段と前に張り込むと、ディエゴがペナルティ正面に橋頭堡として鎮座するようになります。加えて東と高萩が攻撃に専念できるようになったF東京の攻撃は強烈で、特に永井ー太田に振り回され続けた右サイドは決壊寸前まで追い込まれます。

浦和の右サイドに、前に出る余裕が完全に失われたタイミングを見計らって、F東京が永井から前田にスイッチしようとしたタイミング。その直前で3点目が入ったことが、この試合の趨勢を決しました。西川からのフィードを森重と競り勝ったナバウトから、絶妙なパスを受けた李が、GKのタイミングをずらしかつDFの相手の足を避ける、テクニカルなシュート。

以降もF東京が攻め込む場面が目立ちますが、その迫力はやや失われてしまいます。再びスタジアムが盛り上がったのはロスタイムも近づいた85分過ぎ、平川が交代要員として姿を見せた時でした。

スタジアムの視線がピッチサイドに集まったその隙を突くかのように、F東京の前田遼一によって失点。「おいコラそのせいで交代が取りやめになったらどうすんねん」とヒヤヒヤしましたが、89分、ついに柏木に代わりピッチに立ちます。

涙を流しながらキャプテンマークを平川に託す柏木。場内はWe are REDS!の大合唱で出迎えます。平川は往年のように右サイドで奮闘、ドリブルを織り交ぜて突破を見せる場面もあって、スタジアムを大いに沸かせます。

結局試合は3-2で終了。お互いにミスの目立つやや低調な試合内容でしたが、控えや若手を使っての浦和にとっては価値のある勝利で、何より5位を奪い取ることに成功しました。

試合後には、平川選手を送るセレモニーが行われました。

浦和が有する7つのタイトル、全てに関わった唯一の選手です。

同期入団、現レノファ山口の坪井慶介が花束贈呈。サプライズで湧き上がるスタジアムの中、二人とも涙を隠し切れません。

北ゲートサポーターによる、平川への惜別のビジュアルサポート。

場内一周する平川。次々と投げ込まれる花束を、器用にキャッチし続けます。二人のお子さんは場の雰囲気にやや萎縮していたのか、さっさと進みがち。

最後に全体写真。子供を招いての毎年恒例行事ですが、父兄参観の雰囲気が出ていて好きです。

降格争いの渦中にいた前半から、見事に立ち直って、浦和のリーグ戦は幕を閉じました。監督の交代で戦術も大きく変わり、来年はオリヴェイラ監督のサッカーが本格化することになります。選手の入れ替えも多くなるかもしれません。去りゆく選手を暖かくねぎらい、浦和を選んで加入する選手を手厚くもてなし、このセレモニーの間に流れた暖かい雰囲気のまま、来年も選手を後押しして行きたいものです。

そして何より、12/5は天皇杯準決勝!血も滾る鹿島アントラーズとの、ACLチャンプ同士によるダービーです。ここを勝ち抜いて、日曜日の決勝へ!

チケットはもう買っちゃってるんだし(笑)!

更新は不定期ですので、気長に待っていただけると幸いです。Jリーグのサポーターの方はどこのチームでも大歓迎。煽り合いではなくゆるいノリで楽しめたらいいなと思っています。