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【読書】自然界での子育ては「本能」ではない。それを享受しながらも~『生き物の死にざま』ハサミムシ~#377

おはようございます、tamamioです(^^)皆さん、昆虫はお好きですか?「苦手!」という方もおられると思います。

今回は、昆虫の見方が変わる本をご紹介します。

1 「生き」なのに「死に」の本

本日のおすすめ本はこちらです、ドン!

すごいタイトルですよね。「生き物」なのに「死にざま」って。このタイトルに引き付けられて購入しました。

本書では、自然界や飼育下で暮らす様々な生物ー動物・魚類・昆虫などーが登場します。ここに登場する主人公たちの死にざまは、実にドラマチック。そして時に、胸がぎゅっと掴まれます。

2 威嚇してくるハサミムシの傍らに注目

ライオンやゾウ、タコ、マンボウ、シロアリなど、本当にたくさんの生き物が登場し、そして死んでいくのですが、私が特に心に残ったのが「ハサミムシ」です。

http://pest-kanri.com/category8/entry264.html

このハサミムシは、主に石の下で暮らしています。石を持ち上げると、多くのハサミムシは逃げるのですが、中には逃げないで、大きなハサミで威嚇してくるものもいるそうです。

石をひっくり返したときにハサミで威嚇してくるハサミムシとは、どのような素性を持つのだろう。見れば、そんなハサミムシの傍らには、産み付けられた卵がある。

p18

お母さんなのですね。まぁ、生き物が子どもを守るって、そんな不思議じゃないですよね。「でしょうねぇ」という感じで読んでいました。

3 自然界での子育ては「本能」ではなく

・・・が、それは私の認識間違いだったのです。

昆虫の仲間で子育てをする種類は極めて珍しい。

p19

そうなの!?曰く、昆虫は弱い存在なので、常に餌として狙われている。食べられそうになったときに、親が子を守っても、親ごと食べられてしまう。だから、親は卵や子を見捨てて逃げざるを得ない、というのです。

厳しい自然界の中で、子どもを守り育てる「子育て」という行為は、子どもを守る強さを持つ生き物だけに許された、特権なのである。

p20

子育ては「本能」と思っていたのですが、「特権」なのですね。

4 40日間、飲まず食わずの母

その特権を享受し、ハサミムシ(母)は子育てに心身を捧げます。「子育て」と言っても、最初は卵なので、卵に覆いかぶさって卵を守ります。

卵にカビが生えないように一つ一つ順番に丁寧になめたり、空気にあてるために卵の位置を動かしたりと、丹念に世話をしていく。

p21

ハサミムシの卵かかえるまで、約40日。この間、母親は餌を口にする時間はありません。飲まず食わずでお世話を続けます。

片時も卵のそばを離れることなく、卵を守り続けるのである。

p22

そして、ついに卵が孵化し、愛する我が子との対面です。

5 文字通りの「身を捧ぐ」子育て

ところでハサミムシは肉食で、小さな幼虫を餌にしています。孵化したばかりの幼虫は、餌をとることができません。

幼虫たちは、空腹に耐えながら、甘えてすがりつくかのように母親の体に集まっていく。

p22

何が始まるのでしょうか。

あろうことか、子ども達は自分の母親の体を食べ始める。そして、子どもたちに襲われた母親は逃げるそぶりも見せない。むしろ子どもたちを慈しむかのように、腹の柔らかい部分を差し出すのだ。

p23

壮絶です。さらに、次もすごい。

石をどければ疲れ切った体に残る力を振り絞って、ハサミを上に振り上げる。

p23

自分は食べられながらも、子どもたちを守る。もう、小さな生き物なのに、畏怖というか、畏敬の念すら抱きます。

母親を食べつくした子どもたちは、元気に石の下から這い出て、それぞれの道を歩んでいきます。母親の残骸を振り返ることもなく。

この章のタイトルは「子に身を捧ぐ生涯」。文字通り「身を捧」げての子育てです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!稲垣氏の本に興味をもち、これも注文しました!

kindle unlimitedも利用できます(^^)

では、今日も素敵な一日を!

私の創作活動の糧は「読書」です。より多くの書籍を読み、より有益な発信ができるよう、サポートいただけると嬉しいです。