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【ネタバレなし】『二月の勝者』と科学の論文 ~シャーペンは是か非か論争~

おはようございます、tamamioです(^^)
漫画『二月の勝者』はご存知ですか?中学受験漫画で、今度ドラマ化されますね!柳楽優弥さん!『銀魂』の土方さん、かっこよかった!!

今回は、『二月の勝者』から、シャーペン使用の是非について考えます!

1.黒木先生は「鉛筆推進派」

作中で、カリスマ塾講師・黒木蔵人先生が次のように言います。

シャーペンとそれを回すという2点。今すぐやめた方がいいですね。(中略)問題を解いていて芯が切れると集中力も低下します。実はえんぴつの方が合理的です。(1巻・第2講「二月の初陣」)

https://books.rakuten.co.jp/rb/15283916/

この「えんぴつ推進論」は、教師としても大賛成。実際、私が担当する学年は、今までずっと「えんぴつ使用」でした。幸運なことに、周りの先生もそうでした。

一部例外は高学年の、例えば「委員会活動や校外学習の時のみ」です。携帯使用するので鉛筆よりもシャーペンの方が機能的かつ合理的ですから、その時の為に筆箱に1本だけもたせて、授業中はえんぴつ使用でした。

2.科学の視点「鉛筆でもシャーペンでも学習効果は変わらない」


ただ、大好きなメンタリストDaiGoさんは、ご自身のYou Tubeチャンネルの中で「科学的には鉛筆でもシャーペンでも効果は変わらない」みたいなことを言っていました。

メンタリストDaiGoさんは、国内外の文献や論文から「現時点で科学的に正しい知識」を紹介しています。そして、知識を日常生活に使えるレベルまで落とし込み、それを巧みな話術で紹介する「エンターテイメント知識系チャンネル」を運営しています。

そのDaiGoさんが「鉛筆でもシャーペンでも変わらない」と言っているということは、私たちの「鉛筆推進論」はただの神話だったの???
でも、そうかと言って「シャーペンでもいいよ」と言う気にはなれない。
でも、神話だったとしたら、それを進めるのは知的とは言えない。

鉛筆使用は「教師の経験則」ともいえる、まさに知恵の結晶です。
経験則が全てではないけど、シャーペンを許可した後の惨状は、私にでも分かります。下手をすれば「学級崩壊」で、科学は学級崩壊の責任を取ってくれません。

3.自分の頭で考える「鉛筆かシャーペンか」

ここは、自分の頭で考えないといけないですね。では、教師目線で考え、述べます。「指は第二の脳」と言われるように、指を鍛えることは脳に良い影響があります。そして、「指を鍛える」には鉛筆の方がシャーペンよりも優れています。

「指を鍛える」とは、指の筋肉を鍛えることです。指の筋肉を鍛えれば、力の具合を加減したり、器用に動かせたりするようになります。

文字を書くためには、筆記具の「芯」に力を入れる必要があります。鉛筆は、入れた力がダイレクトに芯に伝わります。シャーペンは、力を入れすぎると芯が折れます。シャーペンは、力の調節が必要なのです。

「文字は濃く、はっきりと書きましょう」と小学校で指導します。それは、「文字を濃く書いた方が、学習内容が脳に残りやすい」という教師の経験則があるからです。「薄すぎず、しかし芯が折れない程度に濃く書く」ことを、全ての小学生ができるでしょうか。しかも、教科の学習をしながら。また、その労力を使ってまでシャーペンを使うメリットが、果たしてあるのでしょうか。

ただ、中学校勤務の夫によると「中学校では禁止していない」そうです。小学6年生は、卒業して4月になったらシャーペンを使うのです。小6と中1の筋力は、そんなに違いません。学習内容は、むしろ中学校の方が難しい。夫によると、「シャーペンの使用の有無は成績の良し悪しとは関係ない」のだそうで、進学校に行く子もそうでない子もシャーペンを使っているとのことです。ここまでくると「人による」のでしょうね。

これらをまとめて考えて、私の結論です。

4.結論「学校では鉛筆」~個々には「やや鉛筆推し」だが、どちらでも~

1~3をまとめると、教師目線では「学校では鉛筆を使用させたい」です。ただ、家に帰ってまで「鉛筆」とは言いません。使いやすい方を使ってもらえればと思います。やや「鉛筆推し」ではありますが。

学校で鉛筆を使用させる理由は、まさに「人による」からです。成績の良い子はシャーペンだろうが鉛筆だろうが、結果を出します。問題はそれ以外の子で(こんな言い方すみません!でも敢えて!)、「もうちょっと勉強頑張らせたいな」と言う子ほど、かわいい文房具に走ります。シャーペンはかわいいのがいっぱいありますからね(^^)かわいい文房具は瞬く間に教室に広がり、授業どころではなくなり、そこから学級が崩れていくという、まさに「学級崩壊ストーリー」です。

「なんだ、結局は教師の都合じゃないですか」と言われれば、その通りかもしれません。が、前述したように「第二の脳を鍛える」点からも、鉛筆を使った方がよいのです。わざわざシャーペンを使う必要、なくないですか?という話です。黒木先生も「合理的」と言っていますし(^^)

それに、教師は「学級」という集団の統率者でもあります。統率者であるならば、集団の憂いを一つでも取り除いておきたい。鉛筆使用の推進は「危機管理の一つ」でもあるのです。

ただ、今の時代に「シャーペン禁止!」と強く言うと、逆に反発されます。特に、昨年度まで「シャーペンOK」だったのに「tamamio先生になってから急に禁止になった」となれば、子ども(特に女子)からの反発は免れません。それも避けたい。

幸運にも、私はそんな事態に直面したことはありませんが、この場合こそ、黒木先生のように「鉛筆使用のメリットを繰り返し説く」というやり方が有効なのだそうです。「強制」でなく、自分で「納得」して鉛筆を選んでくれたのなら、それが一番うれしいです(^^)
『二月~』の島津君、あれからずっと鉛筆ですね♪

5.補足 過去には「イミフ」、最近では「激おこ」を学びました

『二月の勝者』は中受のリアル、親子のドラマなどを体験できる本当に面白く、勉強になる漫画です。二回泣きましたね。でも、それだけではなく、私が楽しみにしているのは「言葉遣い」です。

「イミフ=意味不明」などの略語や、「オナシャス」などネットスラングまで登場し「こんな言葉があるのね、へぇ~」と勉強させてもらっています。

昨年、ジュリちゃんみたいな子を担任した時にはこんな会話がありました。

ジュ「先生、A君激おこしてるよ」

「激おこ=激しく怒る」。これも『二月~』で知っていたので「激おこしてるんだ。そんなこともあるよね、聞いてみたら?」と会話成立できました。正直「『二月の勝者』が終わったら、どうやってこういうスラング知ろう」と不安に思うほど、勉強させてもらっています。

と言うわけで『二月の勝者』、ぜひ読んでみてくださいね(^^)
読んでいただき、ありがとうございました!
素敵な一日を(^^)

https://books.rakuten.co.jp/rb/16646889/

私の創作活動の糧は「読書」です。より多くの書籍を読み、より有益な発信ができるよう、サポートいただけると嬉しいです。