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【読書】特別な空気感と食べることへの歓びの作家・江國香織さんの新刊#300

おはようございます、tamamioです(^^)いよいよ年末・お正月ですね。いつもよりちょっと時間がある時期、たまには読書でもいかがですか?

今回は、お正月休みにぴったりの1冊をご紹介します(^^)

1 12/20発売・江國香織さん、待望の新刊!

私のおすすめ本はこちらです、ドン!

江國香織さんは本当に大好きで、大学時代から読んでいます。

ほしいものも、会いたい人も、ここにはもうなんにもないの――。
大晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に命を絶った。三人にいったい何があったのか――。

これは、本の帯とAmazonに載っている紹介文です。「ほしいものも、会いたい人も、・・・」。それが人生の幕を下ろす立派な理由になり得るな、と思ってしまう、江國さんの人物描写の巧さ。

そして江國さんの作品からは、文字情報とは別の「物語の空気」みたいなものが流れてきます。どんなに文字を尽くしても伝わらないはずの空気が、どうしてか流れてくるのです。本当、才能だよなぁと思うのです。

2 江國さんとの出会いは、きらきらしたこの話

江國さんの作品を初めて読んだのは、大学時代。この本から始まりました。

ゲイの夫とアル中の妻。そんな3人と1人(夫の恋人)の話です。設定は強烈なのに、三人とも純粋で儚くて、美しい、まさに「きらきらひかる」物語でした。

3 もう一つの魅力・食べることへの歓び

それ以降、たぶんほとんどの江國さんの作品を読んだと思います。そして、江國さんの作品の別の楽しみ方を発見しました。

それは、食事場面の描写です。食べることを、人生の歓びとしていることがよくわかります。

例えば『うんとお腹をすかせてきてね』(文庫『泳ぐのに安全でも適切でもありません』収録)という話では、男女のカップルが「串揚げ」を食べる場面が出てきます。

もう、その串揚げがおいしそうなこと!カリッとして、熱々で、それを「すいすい」胃袋に収めていく様子は、本当に爽快です。食べたい~!!

4 ちょっと変わった「ほめ言葉」

ちょっと変わった食事の描写では、『物語のなかとそと』の『ほめ言葉ー作家の口福 その四』が印象的です。

江國さんが言われたいほめ言葉。それは「贅沢なかただったんですね」。

「かただった」と過去形なのは、その場所が火葬場であり、江國さんの遺骨を見た納骨係の方に、こう言ってほしいのだそうです。

「贅沢なかただったんですね」

(前略)尋常ではない量の果物を召し上がったんですね。メロン、西瓜、桃、ぶどう、梨。お骨の一つ一つがみずみずしい。(後略)(p192)

この他にも、魚、肉、お酒、と続き、「こんなに幸福そうなお骨は、見たことがありません」と結ぶのです。おいしそう!この後、新鮮な果物をたくさん食べたくなりました!

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!江國さんの『ひとりでカラカサさしていく』ぜひ読んでみてください!

では、今日も素敵な一日を!

私の創作活動の糧は「読書」です。より多くの書籍を読み、より有益な発信ができるよう、サポートいただけると嬉しいです。