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【もやもや徒然草】発達障害、統合失調症の家族(920文字)



なぁ、
おねえちゃん、ワタシ
どうしたらいいの?


今年30歳になった妹、Hは
1週間に1回から2回程度
『混乱』状態になる。

今年の8月中旬から
出産の為に里帰りしている私は
Hに
しばしば先の問いを
問われる。

ワタシ、どうしたらいいの?


私は答えに詰まる。
正直、何といえば良いか
全く分からない。

良かれと思って自分なりに
アドバイスしてみたりすると
逆上したりするので

だから
安易に答えられない。

衝撃的な入院生活を経て


私が高校生で
Hが中学生の時に
症状が悪化した。

彼女に表情が消え
幻聴が聞こえるようになった。

両親は精神病院へ
入院させる事を決めた。

精神病院で誕生日を迎えたHを
父と2人で見舞いに行った日のことは
今でも忘れられない。

きゃー!

髪を振り乱して
ひたすら叫んでいる若い女性がいた。

病棟は
薄暗くて
Hが入院している病室から見える中庭の
緑の青々した様子さえ
薄気味悪く感じられた。

10代の私には
衝撃的な思い出として
記憶の引き出しに仕舞われている。

そんな入院生活を経て
退院し
定時制の高校に入学して
四年生の私大を卒業したHを

姉として
心から
尊敬している。

家族だからこその対立

勉強熱心な母の本棚には

Hが発症したときから
専門書が並び
Hの状態を理解しようとしていたことが
見て取れる。

私は
専門書や
育児書の類は
あえて読まない主義だ。
(読んでしまうと
本の通りにならない事に
混乱してしまいそうだから)

母の本棚にある
数々の専門書は
Hへの愛情にも感じられた。


父は
Hに対して常に
『可哀想』と思っているようで 
可哀想な子だから
父親である自分が、手取り足取り教えるべきだ
という熱い想いが先走り

その結果、
Hと常に対立している。

両親は時に
Hのサンドバッグになり
ひたすら受け止め

時に諭す。
そしてHが受け入れられず
対立したり
また和解したりを
繰り返す。

姉である私は
『混乱状態』のHに対して
傾聴してやることくらいしか
できない。

社会と繋がるということ

私は仕事を通じて
妹と同じような症状を持ちながら
社会的な支援を得て
生活している年配の方と
お会いする機会があるので

家族の中だけで解決せず
社会資源を上手く使って
周りを巻き込むことの大切さを知った。

Hの将来についても
彼女と近い距離で
ささやかながら
彼女の人生を応援したいと
思う。

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