有名な建造物に仕掛けられたとんでもないイタズラ
もうほとんどの方はお忘れかと思いますが、2014年に環境保護団体のグリーンピースが世界遺産のナスカの地上絵に侵入して荒らし、自分たちのスローガンを書き加えるというとんでもないことをやらかしました。
全くやり方は稚拙で弁護のしようもない連中ですが、誰もが知る有名な建造物や遺物に「ちょっと手を加えてみたい」という欲望はよく分かります。やっちゃいけないのはわかってるんですが。
京都の大文字焼きで、学生たちがふざけて「大」の字の右上のところを懐中電灯で照らして「犬」にしてしまったこともありましたし。
ということで、有名な建造物や遺物にしかけれたとんでもないイタズラ事例を紹介します。
1. KFC、エリア51近郊に巨大なカーネルサンダースを設置
「エリア51」といえば、陰謀論やオカルトネタにたびたび登場します。
実際のところエリア51はアメリカ空軍の秘密研究基地であり、様々な軍事機密があるので部外者は立入禁止になっており、それが故ミステリアスで人々を引きつける場所になっています。
UFOを研究しているとか、グレイ型宇宙人を解剖しているとか、宇宙人と共同研究しているとか。
何かエリア51の宇宙人との関係を証明するための痕跡は見つけることができないかと、多くの人がgoogle earthを使ってエリア51を見ているのですが、それを逆手にとったキャンペーンをしたのがケンタッキーフライドチキン。
ケンタッキーは秘密裏に約65,000枚のパネルを運び込み、6日間かけて巨大なカーネルサンダースの肖像を作り上げてしまいました。
作戦は大成功!
実際にgoogle earthでエリア51を見ると、何よりも巨大なカーネルサンダースのロゴが目に飛び込んできて、エリア51の秘密を暴こうとする人たちの度肝を抜いたのでした。
もちろん、現在エリア51を見てもケンタッキーのロゴは見つかりません。
またこれによってケンタッキーがどれほどの宣伝効果があったのかも分かりませんが、少なくとも史上初めて「宇宙から見える企業ブランドロゴ」となったのでした。
2. レーニン像をドレスアップ
Photo from "Pimp My Lenin: Ukrainians Dress Up Statues of the Soviet Leader" vocativ
冷戦時、レーニン像は東側諸国のどんな小さな都市にも立っていましたが、ソ連崩壊後、当然のごとくその多くが取り壊されました。
しかし旧共産圏の東ヨーロッパの国々には、未だにレーニン像が立っている場所がいくつかあります。社会主義時代を懐かしむ層や、レーニン個人を尊敬する人々の存在があったり、単に取り壊すカネがないなど、色んな理由がありそうです。
この時代錯誤の彫像のいくつかは、地元の市民やアーティストらにより鮮やかに塗りたくられたり、伝統衣装を着させられたりしてたびたびイメチェンされ地元のニュースになります。
Photo from "Памятник Ленину раскрасили вандалы" LIFE
Photo from "Pink Leinin" English Russia
レーニン像は社会主義時代の象徴のような存在で、それを違った方法で上書くのは旧世代の権威の否定と社会の一新とを望む行為にあたると思われます。
なんとなく、そうしたくなる気持ちは分かりますね。
ポーランドでは社会主義政権崩壊後に徹底的にレーニン像が破壊されたためほとんど存在しなかったため、ある町ではまったく新しい「レーニン小便小僧像」を作ってしまいました。
もともと旧チェコスロヴァキアにあったレーニン像は、アメリカのシアトルに寄贈され、ゲイ・パレードのようにデコレーションされてしまってます。
ある意味愛されてる存在と言えますよね。
Photo from "The Venkov Lenin: the Bizarre Fate of a Communist Era Statue" Beachcombing's Bizzarre History Blog
3. HOLYWOODサインの改ざんに情熱を捧げる男
1976年1月1日、カリフォルニア・ハリウッド地区の人々は、ハリウッドの象徴である「ハリウッドサイン」が書き換えられ「HOLLYWEED」となっていることに気づきました。WEEDとはご存知の通り大麻のこと。ハッピーでヒッピーなメッセージですね。
犯人は当時21歳の美術学生ダニー・ファイングッド。彼は白とグレーのプラスチックのボードを使って、仲間数人らといたずらを決行したのでした。
これはすぐに当局によって元に戻されましたが、ファイングッドはこの事件以降、「ハリウッドボード」の書き換えに情熱を傾けるようになったのです。
その翌年のイースター(復活祭)の日には、「L」の文字が一文字消え「HOLYWOOD」となっていました。「HOLLY」は「ヒイラギの木」のことですが、「HOLY」だと「聖なる」となるので、イースターの日にかけた季節的ないたずらですね。
ちなみに翌年、ローマ法王がアメリカを訪れた際も、同じく「HOLYWOOD」のいたずらを決行しました。
次第にファイングッドの「HOLLYWOOD」いたずらは政治色を帯びてきて、1990年には湾岸戦争に反対する立場を表明するために「OIL WAR」と書き換えてしまいました。
さすがにこれは刺激的すぎて、夜が明けて人々が見る前に撤去されてしまいました。
この「OIL WAR」をもって彼はHOLLYWOODボードのいたずらから引退したのですが、その後彼の模倣犯が出現。
1996年には、アメリカ大統領選に出馬した改革党のロス・ペローの支持者が「PEROT WOOD」に書き換えてニュースになりました。
4. シアトルのランドマーク「スペースニードル」崩壊いたずら
1989年4月1日、シアトルの夕方の情報番組「Almost Live!」は、エイプリルフールの特番としてとんでもない企画を放送しました。
「ごきげんよう。本日午後、16時53分ごろ、スペースニードルが崩壊しました」
そうして画面に映し出されたのは、シアトルの町の象徴であるランドマークタワー・スペースニードルが崩壊した様子でした。
これはもちろん合成で作られたもので、当時のテレビは解像度が低かったためそれっぽく見えました。これを見た多くの人はパニック状態に陥りました。冷静に窓の外を見たらスペースニードルが立っているのが分かり、しかもテレビ画面には「エイプリルフール」と書いているのにも関わらず、です。
次の瞬間、緊急通報ダイヤル911コールには電話が殺到しシステムが停止。病院には救急車の出動要請がかかり、駅には家族が巻き込まれてないか心配する人でごったがえしました。
しばらくしてこの情報がいたずらだと分かると、この特別番組の関係者は市民や市当局社にめちゃめちゃに怒られたようですが、すぐに忘れ去られ、大した問題にはならなかったそうです。
当時はまだ911前だったのでこんないたずらも許されたのでしょうが、今だったらとてつもない問題に発展しそうです。
当時のニュース動画はこちらで見れます。
5. 工学部の学生の伝統的いたずら「フォルクスワーゲンぶら下げ」
Photo from "EXTREME ENGINEERING" POPULAR SCIENCE
2001年のある朝、サンフランシスコ警察はゴールデンゲートブリッジから「フォルクスワーゲン・ビートル」が吊り下げられているのを見て呆然としました。
サンフランシスコのランドマークである巨大な橋は通行止めになり、警察によって慎重にロープが切られ、車のボディは川に落下。ほどなくして通行規制は解除されました。
このいたずらの犯人はカナダの工学部の学生で、夜中に橋にやってきて、橋の下に約90フィートのケーブルを設置しフォルクスワーゲン・ビートルを固定し下に投げ下ろした。そしてカナダに戻ってメディアにいたずらの「プレスリリース」をFAXで送りつけたのでした。
実はこのいたずらは、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学工学部の学生の伝統的いたずらで、20年以上続く伝統的行事(?)だそうです。
工学部の学生たちは自分たちの技術を披露する場として、毎年いかに「美しく」フォルクスワーゲン・ビートルをぶら下げるか競っているのでした。
しかし2008年の学生は出来が悪かったらしく、フォルクスワーゲン・ビートルのぶら下げに失敗してクルマをバンクーバー湾に落下させてしまい、警察に逮捕されてしまいました。
しばらくはこのいたずらは鳴りを潜めていましたが、2014年にブリティッシュ・コロンビア大学の時計台の上にフォルクスワーゲン・ビートルを持ち上げるという別の形で復活しました。
フォルクスワーゲン、愛されてますね。
まとめ
世界的に不穏さが増してきて、こういういたずらが容認されない社会や時代になってきています。
日本でやっちゃったらツイッターとかで社会的に抹殺されそうですけど、こういったいたずらができるような心の余裕を持っておきたいものです。
冒頭のグリーンピースの例にように、さすがに超えてはいけないラインはあるにせよ、容認できるレベルのいたずらであれば、一晩しっかり叱りつけて終わるくらいの寛容さを持っておきたいです。
そうでないと、本当に息苦しくてやってられないと思います。
参考サイト
"The 5 Most Incredible Pranks Pulled With Major Landmarks" Cracked
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