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熟成された美味なる人間臭

チーズもワインも、時を経過し、熟成され、独特の匂いと味が付いたものにこそ価値がある。

人間臭いって、かなり褒め言葉で、熟成されたその方の魅力を感じる。逆にどんどん人間臭を消してしまう方が不健全な気もします。

人間臭くて魅力的なマダム代表といえば、やはりパリジェンヌではないでしょうか。歳をとっても衰えない美学を持ち熟成されて行く大人の女性。

私に強烈な印象を残したマダムがいらっしゃいます。パリに留学中、花の学校で時々お会いする当時40代半ばと思われるマダム。

彼女は常に、アニマルプリントの服を着て、ベルトや靴、バッグに至るまでアニマル柄だった。大阪のおばちゃん真っ青です。

常に小麦色に焼いた肌に、ゴールドのネックレスやブレスレットをジャラジャラさせて、話し方もブルジョアアクセント。

私は彼女のことを敬愛を込めて「マダム・アニマル」と呼んでいました。(さすがに本人の前では言えませんでしたが…影でこっそり)

にこりともせず、無愛想。いくら通ってもアレンジが上手になったようにも見えない、けれど淡々と全身アニマルで通い続けるお方。

なんだかカッコイイ…私はすっかり感心して、その魅力にハマってしまったのでした。

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私の知る限り、いい女いい男はほとんど不器用で、人間臭が強い。それは、自信の表れだろうか。

自分を無理に矯正せず、自然体で熟成が進むのかもしれない。そういう人こそ稀だから、際立つのでしょう。

そして、心に響く美しい花も器量良しとは限らない。

薔薇のトゲは、幾度となく指に刺さり抜けないことも多々あった。それでも再び手にするのはなぜだろう?

美の本質とは何か?その根源にあるものを追求すればするほど、素粒子となり、目に見えないエネルギーに変わってしまう。

感じることしかできないのだから、感性を頼りに美臭(?)を楽しみたい。

こういうことが面白くて、私は花を続けているのだろう。そして、臭い人間が好きだから。

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