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落ち葉を踏む

このnoteは「玉城ちはる」と「なお」の共著です。
今回は「なお」の執筆です。


次の日は、朝から円山公園へ遊びに行きました。
またも家族水入らずのところに私が入っているのですが
私も私でそろそろそういった状況に慣れてきています。
特に疑問を持つこともなく一緒に遊びに行きました。
本当に良かったのか、今更疑問に思いますが、そこは置いておきましょう。

札幌に住んでいたのに行ったことがなく、私は初の円山公園でした。
紅葉が色づいてきていて、たくさんの木から落ち葉がひらひら舞い降りていました。
ちはるさんはコウちゃんに
「落ち葉を踏んで遊べるよ!」
と楽しそうに声をかけていました。
落ち葉を踏んで遊ぶ。
その言葉が私にはなんだかとても不思議でした。
子供の頃に私もそんなことをしたことがあったのでしょうか。
まったく思い出せませんが、あったのかもしれません。
私もコウちゃんと一緒に、落ち葉を踏みしめながら歩くと、
靴越しに、葉が微かに鳴いていました。
歩きながら、ものすごく大きな葉を見つけるコウちゃんと、
それに対して「すごーい!」と純粋に喜ぶ声をあげるちはるさん。
もえちゃんを抱いたパパさんに、きょろきょろしながら歩く私。
ううん、やはり、書いていてなんだかおかしい気がしますが、
今回はそんな感情は置いていくのです。

まずは北海道神宮に向かいました。
私は学生時代も率先してアルバイトばかりしていたので、初詣なども行ったことがありませんでした。
ですので、北海道神宮も初めてです。
神社に入るのがそもそもとっても久しぶりでした。
長い階段を上っていくと、縁日が見えてきました。
コウちゃんはクレープが食べたいと言い出しましたが、帰り道にしよう、と言い、前へ。
大きな門に迎えられます。
そこでまず目についたのは、晴れ着を着たこどもたちです。
丁度時期は北海道の七五三でした。
どこか浮足立った彼らを眺めながら、早速お参りに入りました。
さて、ここで私は実はとても焦っていました。
お参りの仕方がわからないのです。
パパさんがコウちゃんに
「二礼、二拍手、一礼だよ」
と言う言葉を耳の穴をかっぽじって盗み聞きしていました。
私が何をお願いしたかというと、実は何もしていません。
特に思い浮かばなかったというのが正直なところで、
あれこれ悩むのも神様の前ですることでもないと思いました。
ちょっともったいないことをしたかなぁと思いつつ、次はお楽しみのおみくじです。
私は末吉でした。なんとまぁ、面白みのない結果です。
何故かおみくじを引くと、いつも安産と書いてあります。
出産の予定は一切ないので、これもまたもったいないなぁと思います。
そんな私を尻目に、コウちゃんは悠々と大吉を引いていました。
素晴らしい結果です。
コウちゃんが引いたこどもみくじにはランダムでシールがついていて、こちらは白い蛇のシールでした。
なんとも縁起が良いです。
おみくじを結んで振り返ると、丁度、天気雨が降ってきました。
広がる青空の中を、さあっと駆け抜ける雨。その下にそびえる神宮。
晴れ着で駆け回るこどもたち。
なんだかとても厳かで、静粛な気分になりました。
予報では、この日はずっと雨だったのですが、
ちはるさんの晴女パワーで、素晴らしい景色を見ることが出来ました。
雨が去った青空の下で写真を撮って、神宮を出ます。
すると、こどもたちがとある縁日に吸い寄せられていく様が目に入りました。
スーパーボールすくいです。
他にも美味しいそうなものがたくさんあったのですが、人がいると自分もやりたくなるのでしょうか。
どんどん晴れ着のこどもたちが群がります。
コウちゃんもご多分に漏れず、クレープではなくスーパーボールすくいをやることにしていました。
水に流れるカラフルなスーパーボールは掬うには難しそうでしたが、
お店の方のご厚意で袋にたっぷり入れてもらえました。

そうして次に向かうは――本日にメイン、円山動物園です。
私は動物園もとても久しぶりで、もう何年前に行ったのか覚えていないほどです。
入園料を払うという際になって、私は気づきました。
精神障碍者保健福祉手帳を持っていると、本人と付き添い1名の入園料が無料になるのです。
(施設によりサービスは異なります)
ぼけぼけしていて、いざ会計という段になるまで気づきませんでした。
私とちはるさんは手帳で入園し、いざ! 動物園!
コウちゃんは園内マップを手にし、さながら探検隊長です。
「隊長! まずどこにいきますか!」
というちはるさんの声に、
「ううーん」
と頭をひねらせます。
オオワシたちに迎えられながら、ゾウの展示に向かうことになりました。
ゾウはゆったりと歩いていて、餌を食べる姿も見ることが出来ました。
生のゾウなんて本当に何年振りだろうと思いながら、その姿を目にしていました。
お昼ご飯にソフトクリームを食べたコウちゃんは、強がって「寒い」とは言いませんでしたが
「あたたかいところに行きたい」と言い出します。
あまりを食べたちはるさんもパパさんもとても寒がっていて、
暖かそうなところに向かうことにしました。
山の上にあるので、いくら晴れたと言っても北海道は寒いです。
ということで、次は熱帯鳥類館。
館内はとても暖かく――否、湿気がすごくて暑いほどでした。
そこでコウちゃんは鳥を探すことに躍起になっていました。
もえちゃんのおむつ替えにちはるさんがトイレに向かっている最中も、
探すのが難しい小さな青い鳥や黒い鳥を見つけて何度も指さしていました。
いくつかある館を回ってみながら、最後はホッキョクグマ。
ホッキョクグマ館に入るまでには、ガラスのドーム状になった水中でアザラシが迎えてくれます。
そこで、ちはるさんに、もえちゃんと写真を撮ってもらいました。
昨日と同じように指を握るもえちゃん。
ちはるさんに聞くところによると、赤ちゃんと触れ合っているとオキシトシンが出るらしく、
なんとなく、ふわっと、幸せな気持ちになります。
これもまた不思議な感覚でした。
なんの理由もないのに、幸せな気持ちになる。
言葉で言い表すのが難しい感覚でした。
退園するときに大きなボードの前で写真を撮ろうとしていると、
若者グループが「撮りますよ」と声をかけてくれました。
もえちゃんを抱いたちはるさんに、コウちゃん、パパさん、そして私。
ううん、やはり違和感がぬぐえませんが、それはそれとして。
5人並んで、写真を撮ってもらいました。

私は友人と約束があったため、一度パパさんの家に戻り荷物を取って、その場を後にしました。
久しぶりのちはるさん家族との時間は、とても幸せなものになりました。


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