文芸批評・謎ときサリンジャー

謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―(新潮選書)著: 竹内康浩 著: 朴舜起

「謎ときサリンジャー」面白い。というわけでナインストーリーズ三十余年ぶりに原書で読んでいる。それからネットで見つけたサリンジャー翁の遺作、Hapworth 16, 1924。七歳のシーモア・グラスが二歳年下のバディーの作家としての将来を予言し、自分の死をも予言すること以外に色々早熟な批評をする。予言に関して言えば、ナインストーリーズのテディーにも似ている。サリンジャーの一筋縄ではいかないところは、このミスティシズムだ。一見リアルな青春もののようで随所に不条理というか、シュールというか、説明のできない現象やセリフが散りばめられている。

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