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奇書との遭遇①:ドグラ・マグラ、桂枝雀と1988年

高校時代、熱々の風呂の中で、何度ものぼせて意識が朦朧としながら、夢野久作のドグラ・マグラを読んだのを覚えている。

同じ頃、布団の中で蛍光灯の灯りで読んだのはガルシア・マルケスの百年の孤独。活字が小さく、睡魔に襲われ、文字がぐるぐる眼の前を踊り出し、意識がなくなるまで、毎晩読んだものである。

1988年に作られたドグラ・マグラの映画には正木博士役で桂枝雀が出ているが、20世紀の終わりに自殺未遂から意識が戻らず他界している。

桂枝雀といえば笑える古典落語で一世を風靡したものである。人々を大爆笑の渦に包みこんだと話題になった。

大爆笑芸人と自殺もしくは鬱の末の自死は切っても切れない関係にある。ロビン・ウイリアムも然り。

ドグラ・マグラの映画版は渋谷の109の左を少し上った二階にある映画館で観たのを思い出した。その数年前に読んだ原作の衝撃が凄すぎて映画版には少し拍子抜けしてしまった。

1988年の秋といえば、僕の渡米直前のことだ。この年にはキューブリックのフルメタル・ジャケットも公開されている。こちらはどこの映画館で観たかは覚えていない。

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