ラース・フォン・トリアー レトロスペクティブ2023
もうすぐ公開される「キングダム」の続編、「キングダム エクソダス〈脱出〉」の公開を記念して、多数のラース・フォン・トリアーの作品がまとめて公開されています。
「キングダム」は90年代にテレビドラマシリーズとし、デンマーク本国では、視聴率が50%を超えたことが信じられないような変な作品ですが、すでに「ドックヴィル」を観てラース・フォン・トリアーにはまりかけていた僕は、当時のデンマーク人の同僚何人にも、「キングダム」の話を聞こうとしましたが、皆さん彼のことを多く語らず、異口同音に「Weird」(変な、奇妙な、不気味な)という単語を口にして、あまり語りたがらない(こんな変な作品がデンマークだと思われたくない?)様子でした。
当のラース・フォン・トリアーは、デビュー作からカンヌ映画祭で注目される俊英でしたが、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でビヨーク、「ドックヴィル」でニコール・キッドマンなど今を時めくアーティストや女優を悲惨な状況に描き、その演技が彼女たちの精神的負担となり、(唯一、シャルロット・ゲインズブールだけは、その役をこなし、凄み演技で彼の演出に答えています。ニンフォマニアック完全版凄い!)その後、次の作品には二度と出演しなくなるということも起こり、公開された作品は、いつも物議を醸しだすわけですが、表面的に衝撃的な映像もあるものの、彼のすごさは、今まで、誰も描くことを躊躇した主題をリアルにそしてあまりにも美しく映像で見せてくれること。人の善悪両面をえぐり出すように描き、今まで我々が当たり前のように持っていた”常識“を簡単に覆し、誰も触れてこなかった”タブー“に素手で突っ込み、 “ここまでやっていいの?”という場面が度々登場し、人を困惑させ、怒らせるような作品の数々ですが、その悪意と愛情が入り混じった表現に深く感動してしまいます。
ちなみに今まで何本かの作品を一緒に見ていたウチの奥さんは、“いい加減にしろ!”と思ったそうで、ラース・フォン・トリアーの作品は“もう誘うな!”と言われているので、今回は一人で観に行くことにします。
一通り彼の作品は観ていますが、改めて観る予定なのが、以下の作品です。
・ニンフォマニアック Vol. 1、2【ディレクターズ・カット完全版】
・ドッグヴィル
・ダンサー・イン・ザ・ダーク
・アンチ・クライスト
・奇跡の海
・イディオッツ
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