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「インディペンデントの栄光 ユーロスペースから世界へ」堀江謙三

昨年、ユーロスペースで開催されたレオス・カラックスの新作「アネット」の公開に合わせた催しで、大好きレオスの旧作を一気に再見したときに、堀江さんの貢献でレオスの作品が作られたことを知りました。ユーロスペースはまだ桜が丘にあった時代から、何度も通いここで出会って以来、今でも大好きの映画作家がたくさんいます。レオス・カラックスだけでなく、ピーター・グリーナウェィ、ライナー・ベルナー・ファスビンダー、ダニエル・シュミット、アッバス・キアロスタミ、アキ・カウリスマキなどなど、そして本の表紙に写る縦長で、コストを下げるために、中はわら半紙に印刷された詳細な解説とシナリオが採譜されたパンフレット。80年代後半に全盛を極める作家色の強い映画が多く公開されたミニシアターブーム。ユーロスペースだけではなく、シネマスクエアとうきゅう、シネヴィヴァン六本木、シネマライズ渋谷、俳優座シネマテンにもよく通ったものでした。
この本では、時代は、さかのぼり68年の「政治の季節」、ATG、ニュージャーマンシネマとして、ファスビンダー、ヘルツウォークを日本に紹介したドイツ映画祭、異例の大ヒットしたドキュメンタリー「ゆききて神軍」、坂東玉三郎の「書かれた顔」、北野武の世界的評価、映画美学校や初の国立映画学校東京藝大大学院映像研究科設立など、日本のインディベント映画史にいかに堀江さんの貢献があり、現在海外の映画祭で注目される映画作家がほとんど映画学校の関係者、卒業生と今でも、そしてこれからも続きであろうストーリーは、ほとんど自分の映画体験と重なり、本当にお世話になりましたという思いで、このロング・インタビュー集を読了しました。そして、巻末にある彼が手掛けた映画のリストや映画学校から巣立った若手の名前を見るとまだまだ観てない映画も多くあり、これからも楽しみは続きそうです。

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